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コロナ禍でチームの動向すら不確定な中、迎えたシーズン3戦目の結果は?!



 

パースグローリーの背番号8番、太田宏介は試合前、アシスタントコーチから「マッチプレーする(相手)選手には前からアグレッシブにプレスをかけていってくれ」との指示があった。その相手選手とはMelbourne Victoryのキープレーヤー、攻撃の起点にもなり、フィニッシュもできる背番号23番、Marco ROJAS。前半15分の太田からROJASに対するチャージで、太田はイエローカードが提示されるも、もはや計算内のことだったのかもしれない。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
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2021 – 22シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Round 3(2021年12月5日)
Melbourne Victory 0 – 3 Perth Glory 会場:AAMI Park

 
ニュージーランド代表でもあり、ニュージーのメッシ(Kiwi Messi)とも言われ、17歳でプロデビューし、豪州国内では数々の賞を受賞、海外でも複数国でプレー経験のあるROJASだが、立ちはかだる太田によってこの日は全く仕事ができなかった。それによりMelbourne Victoryの攻撃が単発へと変わり、グローリーDF陣の負担を軽減したことは間違いない。

そして、攻撃のテンポがつかめないMelbourne Victoryは、メンタル的にも追い込まれた。前半のアディショナルタイム、グローリーのDFで背番号5番、Jonathan ASPROPOTAMITISがヘディングでボールをクリアしようとした時、相手FWの足がASPROPOTAMITISの頭を直撃した。レフリーによって即座にイエローカードが提示されるも、ASPROPOTAMITISの治療中にVARでレッドカードへと替わった。

一昨年シーズンまでグローリーを指揮していたMelbourne Victoryの監督、Tony POPOVICは試合後の記者会見で「前半は良かった」とコメントを残しているが、太田を中心とするグローリーのDF陣がMelbourne Victoryの攻撃を凌ぎ、相手を苛立たせた結果が10人へと導いたとも言える。

ただ、グローリーベンチは早々に動く。後半始まって残り時間約30分もある時点で、太田はベンチに下がった。試合後の電話インタビューで「あのまま試合を続けていたら2枚目のイエローカードをもらっていたかもしれませんね。今日の試合は積極的にいっていたので。審判とも相性が悪かったので、代えてもらって良かったです」と後半16分の交代シーン振り返った。

相手の攻撃起点を執拗に潰していた太田だったが、ベンチサイドも太田が2枚目のイエローカードをもらい、数的有利な戦況を振り出しに戻すことを恐れてのベンチワークだった。そして、その早々の決断が転機を作る。今シーズンの開幕戦にてVARで自身の得点をかき消された背番号21番のAntonee BURKE-GILROYが、待望の先制点を決める。

そして、8分後の後半29分に、今度はBURKE-GILROYのクロスに飛び込んだ途中交代の背番号38番、Ciaran BRAMWELLが頭で合わせて追加点。試合終了間際にはストライカーの背番号9番、Bruno FORNAROLIがダメ出しの3点目を追加して、グローリーの2021-22シーズン初白星を飾った。

試合後の太田は「アウェイゲームでやっと勝てました。昨シーズンは(チームとして)アウェイで2勝しかしてませんが、自分がチームに参加する前だったので。ほっとしています」と心境を語り、「今日はロッカーが隣で、Aリーグデビュー戦だったクッキー(GKの背番号12番、Cameron Cook)が試合後、本当に嬉しそうだったので良かったです。若い選手が活躍するのは嬉しいことですね」とチームメートを労った。

そして、「試合開始直前の通路で待機しているイレブンの表情、そしてチームが一丸となって前を向いている雰囲気が伝わった」というピッチ状況を知らせるコメンテイターの言葉が印象的だったことを伝えると「完全アウェイのスタジアムの雰囲気に吞み込まれなかったのが良かったです。確かにまとまっていたかもしれませんね。自分のプレーについて監督もアシスタントコーチも評価してくれたので良かったです」と話してくれた。

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【試合結果】
Melbourne Victory 0 – 3 Perth Glory
(ハーフタイム: 0 – 0)
会場:AAMI Park
得点:<Perth Glory> Antonee BURKE-GILROY(66分)、Ciaran BRAMWELL(74分)、Bruno FORNAROLI(89分)

<パースグローリーのスターティング・ラインナップ>
背番号12. Cameron COOK(GK)、背番号2. Aaron CALVER(背番号22. Josh RAWLINSに59分に交代)、背番号4. Luke BODNAR、背番号5. Jonathan ASPROPOTAMITIS、背番号7. Adrian SARDINERO(背番号38. Ciaran BRAMWELLに68分に交代)、背番号8. 太田宏介(背番号24番. Pacifique NIYONGABIREに61分に交代)、背番号9. Bruno FORNAROLI(キャプテン)、背番号14. Jack CLISBY、背番号18. Daniel STYNES、背番号21. Antonee BURKE-GILROY、背番号29. Darryl LACHMAN
 

文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳を兼務。

 
 
【参考】
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