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やっと地元に戻ったグローリー。何としてでも勝ちたい、今シーズンのホームゲーム2戦目!


 
昨年の11月20日以来のホームゲーム。グローリーファンやサポーターたちが待ちに待ったホームゲームだったが、3月3日からの州・国境再開に際しスタジアムの収容人数が50%まで制限されたことや、コロナウイルス市中感染者が急増し、人込みを避ける傾向も影響してスタジアムには空席が目立った。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの選手紹介や試合結果についてお届けする。

 

2021 – 22シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Round 17(2022年3月6日)
Perth Glory 1 – 2  Adelaide United 会場:HBF Park

 
46日間に及ぶアウェイロードを終え、3月3日に帰州したグローリーは翌日からトレーニング、そして5日の土曜日は試合前のスタジアム練習でこの日のために準備をしてきた。

背番号8番の太田宏介も3月2日の試合ではスタメン・フル出場、かつ全得点に絡む活躍を見せたが、さすがにホテル暮らしのアウェイ生活で蓄積された疲労は溜まっていたと思われる。しかし、久しぶりのホームゲームということもあり、試合前のロッカールームでは気負いこそはないが、念入りにストレッチをしていた太田。そして、ウォーミングアップを終え、選手全員が監督からの指示を聞いた後、太田は笑顔で「行ってきます」と一言残し、入場ゲートへ向かった。

この日の相手は、開幕戦と同じAdelaide United。前半は、グローリーが試合を優位に運ぶ。25分の給水タイム後、31分と35分、40分には決定機を迎え、試合前の「先制点を取れ」といった監督の指示が現実味を帯びてきていた。そして、前半の残り時間もわずか。すると、ベンチから「つなげ!」の指示が飛ぶ。そして、自陣の後方でボールを回すグローリーだが、そのボールをカットされ、Adelaide Unitedの日本人プレーヤー、背番号15番の指宿洋史がシュート。コースに飛んだそのシュートをグローリーのGK、背番号33番のLiam REDDYが左手1本で弾き飛ばし、何とかCKに逃げた。

CK直前に、身長195cmの指宿とグローリーのセンターバック、背番号5番で身長188cmのJonathan ASPROPOTAMITISがゴール前で激しいポジション争いを繰り広げる。そして、主審が一度笛を吹く。仕切り直し後、カーブがかかったCKはファーポストの方へと飛ぶ。そのボールに指宿が飛び込んだ。主審の笛で一度、指宿とASPROPOTAMITISが引き離されたことが裏目に出てしまったのか、ASPROPOTAMITISによる指宿への一瞬のマークが弱まったのか、いずれにしても嫌な時間帯でグローリーは失点する。

後半、早い時間帯で同点に追いつきたいグローリーだったが、一本のチャンスをモノにされる。指宿のパスを受けた途中出場の背番号17番、Mohamed TOUREが快足を活かして縦に抜ける。そして、こちらもけがのREDDYに代わり後半から5試合ぶりにゴールマウスを守った背番号12番のGK、Cameron COOKのニアサイド目掛けてTOUREがシュートを放った。無情にもCOOKの脇の下を通り抜けたボールはAdelaide Unitedの2点目となった。スタジアムに足を運んだ6,657人のほぼグローリー・ファンからは、ため息が漏れる。


<この試合のMan of the matchに選ばれた背番号29番のDarryl LACHMAN。今シーズン唯一全試合に出場中。左SBの太田とコンビを組む。写真:Perth Glory>

後がなくなったグローリーは、両サイドバックも高い位置を取りながら攻撃に厚みをもたせ、幾度となく波状攻撃で相手ゴールに襲いかかる。しかし、ゴールのネットを揺らすまでにはほど遠く、後半43分に途中出場の背番号24番、Pacifique NIYONGABIREがPA内で倒され、背番号9番のBruno FORNAROLIがPKを沈めるも、時すでに遅し。

3ヶ月以上ぶりのホームゲームは黒星となってしまったが、この試合も先発フル出場を果たした太田は試合後「個人的にはほぼ相手の攻撃を抑えられたし、攻撃参加もできた。キラーパスも出せたので、仕事はできたかなと思います」と一定の評価を下した上で、チームとして「2点とも、もったいない失点でしたね。試合後、失点は個人的なミスが重なったと監督は話していましたが、チームとして試合運びが下手だったから負けたんだと思います」と冷静に試合内容を振り返った。


<スタジアムの一角で、太田を応援する日本人サポーターからポスターが掲げられた。写真:K∞ENKAI(太田宏介選手パース応援会)>

 
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【試合結果】
Perth Glory 1 – 2  Adelaide United
(ハーフタイム: 0 – 1)
会場:HBF Park
得点:<Perth Glory> Bruno FORNAROLI(PK/90+1分) <Adelaide United>指宿洋史(45+1分)、Mohamed TOURE(59分)

<パースグローリーのスターティング・ラインナップ>
背番号33. Liam REDDY(GK/背番号12. Cameron COOKに46分に交代)、背番号5. Jonathan ASPROPOTAMITIS、背番号8. 太田宏介、背番号9. Bruno FORNAROLI、背番号11. Nick FITZGERALD(背番号10. Andy KEOGHに56分に交代)、背番号13. Brandon O’NEILL(キャプテン)、背番号14. Jack CLISBY(背番号7. Adrian SARDINEROに69分に交代)、背番号18. Daniel STYNES(背番号24. Pacifique NIYONGABIREに56分に交代)、背番号19. Callum TIMMINS、背番号21. Antonee BURKE-GILROY(背番号22. Josh RAWLINSに82分に交代、背番号29. Darryl LACHMAN
 

文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳を兼務。

 
 
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