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特別インタビュー。在パース日本国総領事 内藤康司氏が離任。

在パース日本国総領事館第26代目総領事、内藤康司氏が離任した。日豪首脳会談で岸田文雄元首相がパースに訪豪する2週間前の2022年10月に着任し、2025年の2月までの2年4ヶ月間、非常に精力的に日本と西豪州の関係維持、更なる発展に尽力された。
 


ここでは、1月22日に在パース日本国総領事公邸で西豪州日本人会商工部会との共催により行われた「新年祝賀レセプション」にて内藤氏に、在任中の2年余りを振り返って頂き、お話を伺った。

インタビュー:1月22日 取材協力:在パース日本国総領事館


-離任を前に今のお気持ちをお聞かせ頂けますか?
 「まず最初に、着任後すぐに岸田総理をパースにお迎えできたこともそうですが、コロナ禍収束後の人の交流が爆発的に広がる時期と重なったことも手伝い、パース在住の企業関係者や定住者の方々と協力させて頂きながら、前向きな仕事をすることができたのは大変恵まれていました。皆様のご支援に心より感謝申し上げます。」

-パースでの思い出や特に印象に残ったことは何ですか?
 「たくさんありますが、大きいところで2つあります。一つ目に、私の任期中に日本とパースの全日空の直行便が再開したことです。日本と西豪州の間には長年の間に構築された人と人との強い絆があり、政治経済関係を支えています。その中で、直行便は人をつなぐ象徴的な意味があると思います。空港到着ゲートのところでゲストが来るのを待ってらっしゃる方を多く見ます。日本からの直行便の到着の際には、特に日本人と思われる方がゲートから出て来られ、またその方たちを歓迎して、ハグをされている方もいらっしゃる。手作りの歓迎バナーをかかげている方もいる。あの風景を見ると、まさに直行便は日本とオーストラリアの思いをつなげているとあらためて感慨深く思いました。豪州からも記録的な数の方々が訪日し、貿易投資にも前向きな影響を与えています。そして、2つ目はブルームについてです。」

-西豪州の北部に位置する街、ブルームですね。
 「はい、任期中ブルームには4回訪問しましたが、ブルームでの日本人の定住が始まってからの歴史を聞けば聞くほど、当時の日本人移住者は大変な思いをして生活をされたんだと思い知りました。皆さんもご存じかと思いますが、ブルームには1890年頃から日本からの移民が潜水夫として多く住み移った歴史があります。当時は、潜水病やサイクロンの被害で若くして命を落とした方々、人種差別を受けた方々、またそんな中で第二次大戦が始まって、本当に大変な時代を生き抜いた人たちがいらっしゃった。」

-当時、潜水夫として活躍された方がブルームでまだ生活されているという話を伺ったことがあります。
 「実は、私はその方たち、ご家族の方々とお話する機会がございました。遠い日本から移り住み、様々な困難に直面しながらも課題を乗り越え、ブルームという土地を愛し、そこに住むオーストラリアの人たちを愛し、豪州発展の一部、日豪友好の礎になっていった。そのたくましさと土地への愛着は、その後、西豪州に住む日本人の生き方にも示唆を与えていると思います。ブルームに住む最年長の日本人の方が話された『いやぁ、ブルームっていいとこだよ』の言葉には本当に重みがありました。」

-直行便と同様、日豪の繋がりは当時の潜水夫の方たちによって強化されてきたんですね。
 「文化の違いを乗り越えて、ブルームの人たちとの関係を構築し、オーストラリアと日本の架け橋になり、またそこで新たな文化を作っているんですよね。その当時は草の根のレベルだったかもしれませんが、今では非常に大きな両国間の関係の一部となっています。私は、任期中、西豪州で日豪の架け橋として活躍される情熱をもった多数の日本人と豪州人にお会いすることができました。私は、そうした日豪架け橋の主人公達の輝きをさらに際立たせるサポートができればと願い、館員とともに活動してきました。」

-今後、西豪州と日本との関係で期待されることは何ですか?
 「厳しさと不透明さを増す国際情勢のなか、日本と豪州の連携の重要性は一層高まっています。そのような中で、西豪州には安全保障、資源エネルギー等、日豪関係の重要部分が凝縮しています。今年はパースで日豪経済会議も開催される重要な年であり、友好関係の強い西豪州から、日豪関係のさらなる発展を目指すチャンスです。日本と西豪州の関係のさらなる発展を願っております。」

-最後に、次の赴任先は南アフリカと伺いましたが抱負をお聞かせください。
 「これから赴任する南アフリカは、アフリカ最初のG20サミット議長国として、11月にサミットを開催します。それに先立って、8月には横浜でアフリカ開発会議があり、アフリカの首脳陣たちが訪日します。南アフリカにとって2025年はビッグイヤーになると思いますが、そんな中でも私の役割は日本と南アフリカを更に強固につなげることと思っています。元南アフリカ大統領のネルソン・マンデラ氏ともお話させて頂いたことがあります。そのマンデラ氏の側近として当時、手腕を振るっていた現大統領のシリル・ラマポーザ氏とも交流があります。日本と南アフリカのお互いの良いところを引き出し、更なる関係構築のお手伝いができればと思っています。」
 

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