月刊誌『パースエクスプレス』では毎月特集を企画し、紹介しています。ここでは、パースエクスプレス・マガジン2018年5月号特集で掲載した『オーストラリアといえばソーセージを食べる Enjoy Aussie Snag』についてお届けします。
オーストラリアにおけるバーベキューは文化の一つ。そのバーベキューの料理や調理法で必ずといっていいほど登場するのは、ソーセージ。つまり、ソーセージはオーストラリアの国民食といっても過言ではないのです!ゆえに、ソーセージは奥が深い。しかし「Let’s throw some snags on the barbie」といった感じで簡単に焼いて、気軽に食べられるのも確か!SnagはSausageのオーストラリアスラング。BarbieはBarbecue(BBQ)のオーストラリアスラング。直訳すれば、「バーベキュー台にソーセージを放り込め!」となりますが、されど国民食だから奥が深いんです(笑)! そんな、まさに“味”わい深いオーストラリアのソーセージを今号特集で紹介します。
特集内で紹介するソーセージは、パースの精肉店で提供する選りすぐりのものとなります。各店とも個性を活かしたコンセプトにて、『バラエティ豊富』な、『高品質』の、『食の安全が守られた』ソーセージを提供しています。ぜひ、参考にして、“オーストラリアの国民食”を楽しんで下さい!
取材協力:Crimea Quality Meats/Torre Butchers/Mondo Butchers
ソーセージとは?
ソーセージは、原料や製法によって数え切れないほどの種類が存在しますが、一般的には畜肉(豚肉、牛肉、鶏肉など)を細かく切って香辛料などと練り合わせ、ケーシング(薄い膜状の袋/スキン)に詰めた食肉加工品のことを指します。ちなみに、日本におけるJAS(日本農林規格)では、太さやケーシングの種類によって「ウインナーソーセージ」、「フランクフルソーセージ」、「ボロニアソーセージ」とソーセージの分類がなされています。
ソーセージといろいろ@オーストラリア
●ソーセージシズル(Sausage Sizzle)
焼いたソーセージを食パンにのせ、炒めた玉ねぎを添え、バーベキューソースやトマトケチャップをかけて食べます。“シズル”というのはSizzle、「ジュージュー焼く」といった意味です。
●ソーセージロール(Sausage Roll)
ミンチ肉をパフ・ペストリーというパイ生地で包み、オーブンで焼いたイギリス発祥と言われている伝統料理。ソーセージをそのままパイ生地で包んだような見た目からソーセージロールと言われたとの説も。
●バーベキュー(Barbecue)
オーストラリア文化の一つと言えるバーベキュー。BBQといった略した表記でおなじみだが、ここオーストラリアでは、Barbie。オーストラリアスラングとして使われ、そのBarbieではソーセージが主役級の存在となる。
食の安全が守られているソーセージ
健全な食生活を実践するため食を選択する知識の習得で安心してものが食べられるということは、自分の身体、子や孫の代にとっても大切なこと。ここでは、材料にこだわったソーセージなどを紹介します。
身体に優しい材料で作られたソーセージ
InglewoodのBeaufort Street沿いにお店を構える「Mondo Butchers」。早くから“安全な肉”をモットーに『オーガニック』や『ホルモンフリー』、『フリーレンジ』などの精肉を扱い、動物福祉や環境に留意した営業理念でお客に商品を提供してきた。また、食品アレルギーへの配慮から、『グルテンフリー』の商品も取り揃えている。もちろんソーセージに使われる肉も厳選され、グルテン不使用でかつ添加物を使用していないものもあり、材料には厳然としてこだわっている。
オススメのソーセージ3種の紹介
作り手の思いと売れ筋が比例する時こそが、商売の醍醐味。安全で美味しいソーセージを
作り、そのソーセージが飛ぶように売れる相思相愛の「Mondo Butchers」の3品を紹介します。
安全なソーセージ選び
オーガニックとは、化学肥料や農薬を使用しない野菜や有機飼料により生産された畜産物、有機農畜産物を用いて無添加で生産された加工食品などを指す言葉。「Mondo Butchers」の店内には「Organic」の文字が至る所にあるが、安全なソーセージ選びをするためには、なぜオーガニック食品なのか、また近年ますます問題視されている食品アレルギーをどう回避するのかは、ぜひ知っておきたい。
●ホルモンフリー(Hormone Free)
オーガニック食品のパッケージに明記されている「ホルモンフリー(Hormone Free)」とは、畜産物を人工的に早く成長させる“ホルモン剤を打たれずに育った”という意味。例えば、ホルモン剤を使用した子牛が6ヶ月で体重約250kgに成長するのに対し、ホルモン剤を使用しない子牛は6ヶ月で体重110kgにしか成長しないといった研究結果も出されている。
●フリーレンジ(Free Range)
卵や鶏肉などのパッケージに印刷された「フリーレンジ(Free Range)」とは、放し飼いにされ、自由に動き回ることができる状態で育てられた家畜(主に鶏)のこと。ケージ(檻)の中で身動きできない状態で育てられる家畜は病気が蔓延する可能性もあり、それを防ぐために抗生物質を使用するケースもある。
●グルテンフリー(Gluten Free)
グルテンとは、小麦やライ麦などに含まれるたんぱく質のことで、このたんぱく質にアレルギー反応を起こす人へのグルテン不使用を提示する際の表記が「グルテンフリー(Gluten Free)」。ソーセージの場合は、このグルテンがつなぎとして使用されるケースが多く、そのグルテンを使用していない商品には「グルテンフリー」が明記される。
情報提供:Mondo Buchers
ソーセージのプロに聞きました
「料理は趣味が高じて…」とは言いつつも、ケータリング事業では自らがシェフとして現場に赴いて調理し、お店では料理教室も開催している「Mondo Butchers」のVince Garreffaさん。また、料理本まで出版しているマルチなVinceさんにソーセージへのこだわりや料理法を伺った。
Vince Garreffa
ヴィンス・ガレッファさん
1979年に創業し、現在は息子に経営を委ねる。オーガニックを中心とした“安全な肉”は親心から取り扱い始めたが、今ではレストランやスーパーにも卸す。料理教室やケータリングビジネスも行い、料理本も出版する。
◆新鮮で安全なソーセージ
―なぜオーガニックの精肉にこだわり、販売し始めたのですか?
今から約40年前に自分の店を開店した頃は、ホルモン剤を使用した食肉が一般的でした。しかし、自分も親となり、自分の子どもの健康を考えると、オーガニックの精肉の方が健康に良いと考えたからです。至って当然の流れからでした。
―オーガニックの精肉や商品はどのくらい取り扱っていますか?
販売し始めた頃は全体の5%ほどでしたが、現在は多くの精肉や商品がオーガニックのものとなっています。人々の食への関心は年々高まっているので、これからももっとオーガニックのものを増やしていく予定です。
―世界中でアレルギーを持つ人々の、特にこどもの数が増えていますね
食生活に制限のある人のために、当店のソーセージは全てグルテンフリーです。また、添加物となる防腐剤が入っていないものも販売しています。アレルギー対策や添加物については遠慮なく店員にご相談ください。
◆ケータリングや料理教室も開催
―ケータリング・ビジネスも行っていますね
はい、自分が料理好きなもので(笑)。誕生日会やウェディング、イベントやパーティなど、私自らが現地で腕を振るわせて頂きます。イベントの大小に関わらず、様々なお客様のご要望にお応えできるように対応しています。
―料理教室ではどんなことをされていますか?
お肉料理から取り扱う材料によって様々な教室があります。もちろん、ソーセージも含めせっかくの美味しいお肉ですから、その肉に適した焼き方、調理方法も教えています。また、料理以外にも安全で美味しいお肉の選び方なども案内しています。ひとりからグループでの参加も受け付けています。
―オススメのソーセージの焼き方を簡単に教えて頂けますか?
基本的に、BBQ台の鉄板は火力が強すぎるのでオススメしませんね。コンロにてフライパンで焼くのがベストです。ソーセージのサイズや一回の調理本数にもよりますが、まずはソーセージの両面を強火でそれぞれ4~5分ずつ焼き、みじん切りのニンニクを入れます。10~20秒後、ホワイトワインを少し入れて、アルコールを飛ばした後、エクストラバージンのオリーブオイルを多めに入れ、火を少し弱めた後、アルミホイルなどで作った落し蓋をしてから3~4分待ちます。ソーセージをひっくり返して、更に3~4分火にかけたらできあがりです。本当に美味しいソーセージを召し上がれますよ!
◆感謝の気持ちを持ち続け
―いつお店をオープンされたんですか?
1979年にMidlandで最初の店をオープンさせました。自分の店を持つ前にも精肉店で働いていましたが、その時にお世話になった人へ、そして特にお客様に感謝の気持ちを届けたいと思ったのが自分の店を出すきっかけでした。それから約20年後の1999年に今の店があるInglewoodに移転しました。
―どうしてInglewoodへ?
自分の家がInglewoodにあったというのも理由ですが、地元のInglewoodにあった精肉店の多くが閉店してしまい「ならば、私がお店を出そう!」と思って移転してきました。今ではこの地区では最も長く営業している精肉店の一つとなっています。
―最後に読者へメッセージをお願いします。
自分が9歳の時、新聞紙の売り子として働き、10歳で野菜の箱詰め、そして13歳で精肉店で働き始め、その時にすぐに精肉の仕事が好きになりました。自分が捌いたお肉が家庭やレストランで楽しまれ、その時の記憶がぬくもりのある大切な思い出として人の心に残るとしたらこんな素敵な仕事はありません。
Mondo Butchers
■住所:824 Beaufort Street, Inglewood
■電話:08 9371 6350
■営業:火~金曜日 8am – 6pm/土曜日 7am – 2pm