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タスマニア開催3連戦の初戦!暫定だが下位グループからどこまで巻き返せるか?!



 
1月17日にクイーンズランド州に入ったグローリーの2度目のアウェイロードは当初、1ヶ月間を予定していた。ただ、選手のコロナウイルス感染による試合の延期が3試合、そして西豪州政府による州・国境閉鎖解除の延期など日々変化する状況の中で、2月8日から西豪州での検疫期間が14日間から7日間に短縮された。この変更は選手にとっては朗報だった。パースに帰州して、自宅隔離が7日間で済むということはアスリートにとって実践への復帰には大いに助かる。

チームは2月6日と9日の試合が延期となったため、13日のCentral Coast Mariners戦に向けて調整を進め、その試合後に帰州を予定していた。しかし、11日に予想もしない展開が突きつけられる。Aリーグから「グローリーのホームゲーム扱いで、タスマニアでの試合開催」といった提案だった。

対戦相手となるブリスベンやメルボルンのチームにとってはタスマニアへの移動やファンの集客を考えれば確かにアウェイゲームになるが、グローリーにとっても同じ状況であることは変わらない。この提案に当然、グローリー側は反発する。しかし、コロナ禍で試合数が他のチーム比べ3~4試合も少なく、この分だとシーズン後半のスケジュールに無理が生じ、また州・国境を開けようとしていない西豪州で現実的に試合ができるのかといった不確定要素に期待をかけるよりも、現時点で確実に試合ができ、ウイルス感染者が少なく、かつ中立性の高いタスマニア開催の方がチームや選手に負担が少ないのではといった議論がなされた。そして、結果的にクラブは「タスマニア開催」を承諾することになったのだ。

ちなみに、その決定の一週間後、2月18日には西豪州政府は州・国境の再開を3月3日から行うと発表している。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの選手紹介や試合結果についてお届けする。

 

2021 – 22シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Round 15(2022年2月20日)
Perth Glory 2 – 0 Brisbane Roar 会場:UTAS Stadium, Launceston

 
さて、2月20日(日)、23日(水)、27日(日)とグローリーの一時的なホームゲーム扱いの3連戦実施が決定し、迎えた初戦のBrisbane Roar戦。前節から交代は2選手のみ。昨シーズン正GKとしてゴールマウスを守った背番号33番のLiam REDDYが、今シーズン初出場。けがからの復帰戦となった。

試合は早々に動く。始まりは背番号8番の太田宏介からだった。左サイドから絶妙なクロスを上げ、相手DFはヘディングでCKに逃げる。そのCKも太田が蹴り、ゴール前でクリアされたボールをキャプテンの背番号13番、Brandon O’NEILLが右サイドの背番号24番、Pacifique NIYONGABIREへ。NIYONGABIREはドリブルでPA内に侵入するも、その際に相手選手の蹴り上げた足が体に当たり、PKの判定を受けた。

PKのキッカーは背番号9番のストライカー、Bruno FORNAROLI。ゴール正面に落ち着いて決め、グローリーが先制した。

しかし、その直後、センターバックの背番号2番、Aaron CALVERが相手FWと競り合った際に腰を地面に強打。シーズン開幕前に腰のけがでリハビリに長いこと時間を使っていたCALVERだが、数分プレーした後、自らピッチを後にした。

前半のシュート数は1対7でBrisbane Roarが勝るも、そのうち枠に飛んだのが1本だけだったということもあり、前半は両チームとも決定機の欠ける展開だった。

そして、迎えた後半。Brisbane RoarのDF陣にミスが目立つ。後半13分には最終ラインでのパスミスをNIYONGABIREが奪い取り、ゴール前へクロスを上げる。そのボールは味方を経由して最後はO’NEILLがフィニッシュ。シュートはわずかに左に反れたが決定的だった。

追加点がほしいグローリーはO’NEILLに代わり、後半15分には背番号10番のAndy KEOGH、26分にNIYONGABIREに代わり背番号15番のDaniel STURRIDGEが投入され、FORNAROLIとKEOGH、そしてSTURRIDGEと前線3枚がそろい踏みで攻撃に厚みをかけた。

その狙いが当たる。後半28分、Brisbane RoarのDF陣の連携がずれ、そのミスを途中交代でピッチに入った背番号26番のGiordano COLLIが自分のボールにし、一度ワンツーを挟んで、ラストパスをFORNAROLIへ。FORNAROLIは体を反転しながら強烈なシュートをゴール上のネットに叩き込んだ。FORNAROLIとKEOGH、STURRIDGE3人の前からのプレッシャーが生んだ得点だった。

この2点目でBrisbane Roarの戦意は半減。グローリーは、“ホームゲーム”で勝ち点3をゲットした。試合後、太田との電話インタビューで「前半は向かい風でやりずらかったですが、個人的には(試合への)入りが良かったし、早い段階で得点が取れたので良かったでしたね」と話し、「ただ、DFラインが下がってしまうシーンがあったので、相手にボールをもたせる時間が長くなってしまいました。その点は、ハーフタイムに監督からも注意を受けましたが」と前半を振り返った。

また、タスマニアは初めてという太田は「今までいたシドニーの“海”とは正反対の“山”という感じで、緑も多く、個人的には好きですね!少し気温は低めですが、過ごしやすいです。残り2試合も勝利で、ここタスマニアでの試合は終わりたいと思います」と話してくれた。

 
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【試合結果】
Perth Glory 2 – 0 Brisbane Roar 
(ハーフタイム: 1 – 0)
会場:UTAS Stadium, Launceston
得点:<Perth Glory> Bruno FORNAROLI(8分<PK>、73分)

<パースグローリーのスターティング・ラインナップ>
背番号33. Liam REDDY(GK)、背番号2. Aaron CALVER(背番号22. Josh RAWLINSに14に交代)、背番号8. 太田宏介、背番号9. Bruno FORNAROLI、背番号11. Nick FITZGERALD(背番号26. Giordano COLLIに71分に交代)、背番号13. Brandon O’NEILL(キャプテン/背番号10. Andy KEOGHに62分に交代)、背番号18. Daniel STYNES(背番号19番. Callum TIMMINSに46分に交代) 背番号21番. Antonee BURKE-GILROY、背番号23. Mitch OXBORROW、背番号24. Pacifique NIYONGABIRE(背番号15番. Daniel STURRIDGEに71分に交代)、背番号29. Darryl LACHMAN
 

文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳を兼務。

 
 
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