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敵はコロナか?!アディショナルタイムでの劇的な結末とは・・・。



 
2月2日の前節で先発フル出場していた背番号22番のJosh RAWLINSや背番号19番のCallum TIMMINSが試合後、新型コロナウイルスに感染した。陽性者となり復帰を待つ他の選手を含めると、到底試合に臨める布陣を組めないグローリー。実際、数日後に他3選手も感染していることがわかり、6日のMelbourne City戦と9日のNewcastle Jets戦が延期となった。

1月17日に今季2回目のアウェイロードに入り、1月19日と22日に試合を行い、22日の試合にようやくリズムを掴んで勝利。さあこれからという時に選手への感染が確認され、26日の試合は延期。選手の復帰で2月2日の試合は実施されたものの、再度、ウィルス感染の影響で2試合延期となった。そして、遠征に入って約1ヶ月も経つ2月13日にやっと4試合目となるCentral Coast Marinersとの試合が実現したのだ。
 

<Aリーグを知る記者の視点 A League Football Journalist’s Point Of View>
Aリーグを知る記者の視点から更に詳しくパースグローリーの選手紹介や試合結果についてお届けする。

 

2021 – 22シーズンAリーグ パースグローリー試合結果
Round 14(2022年2月13日)
Central Coast Mariners 1 – 1 Perth Glory 会場:Central Coast Stadium

 
今季加入のスペイン人、背番号7番のAdrian SARDINEROが、けがで戦線離脱した。コロナ禍で選手層が手薄になっている中ではあったが、Aリーグ200試合出場を記録しているNick FITZGERALDが今季終了までの契約で急きょ入団することになった。そのFITZGERALDが、背番号8番の太田宏介の前でプレーした。

前節に引き続き、この日も太田は積極的に攻撃に参加する。「Nickとは2回しか一緒に練習ができていなかったですが、やりやすかったですね」と試合後、話してくれたが、確かにチームへの献身的なプレーは見せていた。

立ち上がり15分はグローリーペース。スタッツも70%でボールを支配した。徐々にペースを上げてきたMarinersは32分と33分、そして38分のCKからと、立て続けのチャンスでグローリーのゴールに迫る。しかし、前半終了2分前、グローリーは右サイドの攻撃から上がったクロスへ太田がゴール前に走り込む。相手DFと競り合ったヘディングはCKの獲得となったが、ゴールへ向かう気迫はチームメートを鼓舞した。

後半開始からMarinersは選手交代で日本人プレーヤーの背番号7番、Cy GODDARDを投入。イギリスのロンドンで生まれ、日本人の母をもつGODDARDはイタリア、キプロス、インドでのプレーの経験があり、2021年8月にMarinersに加入。左サイド中盤でプレーした。

後半は両チーム一進一退の攻防を続けたが、後半13分、Marinersが風穴を空ける。今季途中で入団したスコットランド人FWで、背番号9番のJason CUMMINGSが先制点を挙げる。

その後、グローリーベンチも動く。背番号23番のMitch OXBORROWに代わり、背番号18番のDaniel STYNES、背番号26番のGiordano COLLIに代わり、この試合でAリーグ150試合目となる背番号10番のAndy KEOGHがピッチに送り出される。

しかし、時間ばかり過ぎてゆき、第4の審判によってアディショナルタイムが4分と提示される。そして、3分が過ぎた時、一番後方の背番号29番、コロナ感染明けのDarryl LACHMANから前方にフィードされたボールを、同じくコロナ感染から復帰した背番号9番のBruno FORNAROLIがトラップ。そのセカンドボールをこの試合がAリーグ初出場の背番号41番、Adam ZIMARINOがいったんボールをキープしようとしたが、流れたボールに途中出場のSTYNESが左足で相手Gkの逆サイドに流し込んだ。

試合終了1分前の劇的な同点弾でグローリーは勝ち点を分けた。1ヶ月以上も続くアウェイロードに加え、ホテル生活とコロナ感染に常に背中合わせのグローリー選手、関係者にとってまだまだ続く険しい道のりだが、この勝ち点は次へのモチベーションになったことは間違いない。

試合後の電話インタビューで太田は「個人的には準備ができていたので、ここ何試合かでは体が動いた方だと思います。太陽が眩しかったですが、スタジアムの雰囲気は良かったですね」と話し、「前にいたNickのポジショニングが良く、スペースを開けてくれたので、自分も攻撃に絡めました。しかし、負けなくて良かったですね」とほっとした心境を語ってくれた。

 
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【試合結果】
Central Coast Mariners 1 – 1 Perth Glory
(ハーフタイム: 0 – 0)
会場:Central Coast Stadium
得点:<Central Coast Mariners> Jason CUMMINGS(58分)、<Perth Glory> Daniel STYNES(90分+3分)

<パースグローリーのスターティング・ラインナップ>
背番号12. Cameron COOK(GK)、背番号2. Aaron CALVER、背番号8. 太田宏介、背番号9. Bruno FORNAROLI、背番号11. Nick FITZGERALD(背番号14. Jack CLISBYに74分に交代)、背番号13. Brandon O’NEILL(キャプテン)、背番号21番. Antonee BURKE-GILROY、背番号23. Mitch OXBORROW(背番号18. Daniel STYNESに66分に交代)、背番号24. Pacifique NIYONGABIRE(背番号41番. Adam ZIMARINOに56分に交代)、背番号26. Giordano COLLI(背番号10. Andy KEOGHに73分に交代)、背番号29. Darryl LACHMAN
 

文:今城康雄(いまなりやすお)。パースの日本語メディア「The Perth Express」の代表兼、編集長。2005年のAリーグの開幕以来、リーグ公認のメディアとなっている「The Perth Express」のジャーナリストとしても、パースグローリーのホームゲームはほぼ全試合、記者席より取材を重ねてきた。2020年よりパースグローリー日本地区担当マネージャー兼通訳を兼務。

 
 
【参考】
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