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[第2節] 勝負へのこだわり

ベンチに深くもたれ掛かるように座り込む石田。勝利に酔いしれるシドニーイレブンの横を通り抜け、グローリーの選手達はバックスタンドの観客席に礼を告げに行くが、石田だけはベンチから立とうとはしなかった。びしょ濡れの背番号“12番 ISHIDA”は、力なく雨空を仰いだ。
 「足がつったんです。要領よく試合をこなせば、つることはなかったかもしれませんが、あの試合は全てが全力でしたから。フィットネスの問題とは思っていません。足がつることは年間あっても1回か、2回程度なので、あの試合は本当に走り続けたのでしょうね」

サッカーのクラブチームにとって世界最大の大会、FIFA世界クラブ選手権の出場への道が閉ざされたという事実は、石田にとって移籍後初の試合を勝利で飾れなかった以上に無念だった。また日本人で唯一、その大会に出られたかもしれないという可能性の消滅にも大いに失望させられた。しかし、勝利の女神が微笑まなかった原因を「負けるには理由があるんです」と言い切った言葉が、彼の思いの全てを象徴していたようにも思う。