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[[第2節] 勝負へのこだわり

最初にベンチが動き始めたのは、シドニーだった。日本では馴染み深い、元西ドイツ代表選手であり、ジェフユナイテッド市原、ブランメル仙台でプレーし、横浜FCの監督を務めたことのあるリッティこと、Pierre Littbarskiが、今年からシドニーの監督に就任。彼は先制点を決めたDavid Carneyに代えて、背番号7番のRobbie Middlebyを投入した。

雨は完全に止むが、ピッチに染み込んだ水が選手達の足にずっしりと絡みつく。後半30分が経ち、迎えた35分だった。シドニーの攻撃の芽を摘もうとグローリーはオフサイドトラップをかけるが、無情にも線審のフラッグは上がらず、シドニーのFW、背番号11番のSasho Petrovskiがシュートを決める。シドニーが2対1とした。

コンディションの悪さは、ピッチを走る22人の選手にとって平等ではあった。しかし、残り15分の間に課せられる得点への重みは、鉛のようにグローリーの選手の足に圧し掛かっていった。そして、時計が残り5分を指した時、石田の右足に異変が起こる。屈伸と前屈を繰り返す石田。無念にも残り3分のところで、石田はセンターサークル付近で座り込み、監督に交代を要求するジェスチャーを送った。前後半を通して88分のことだった。そして間もなくして、試合終了のホイッスルが鳴った。