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[第1節] 自分の信じた道へ

「メンタルの問題です。サッカーはハート。負けないんだ、と言う気持ちがなければサッカーはできない。プロのサッカー選手は、お金をもらってサッカーをやっているんだから、ボールが蹴れて当たり前。何が違うか?メンタル、メンタルタフネスが最も大切なんです」 中学を卒業後、ブラジルで得た経験を引っ提げ、Jリーグでの活躍を夢みた石田にとって現実は、厳しかった。しかし、15歳の時にみたあの夢は、まだ自分の中でしっかり息づいている。そして、あくまでもプロにこだわりたかった。東京ヴェルディ1969を後にした彼の目は、海外に向けられた。

2001年6月、シンガポールリーグのクリメンティ・ハルサの入団テストに合格した石田は、2002年10月までの約1年半のプロ契約を交わす。しかし、Jリーグでの試合に出られないジレンマが、ここでは全く逆だった。試合には出られる。得点することもできた。
 自陣で受けたボールをドリブルしながら敵陣に攻め込み、相手ディフェンダー4人をフェイントで抜いた後、ペナルティエリア手前から豪快にシュートを決めたゴールが、2002年のシンガポールリーグ『Goal of the Year』にも選ばれた。でも、それは彼が求めているものではなかった。