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[第1節] 自分の信じた道へ

石田の在籍中、清水エスパルスは1999年の天皇杯で準優勝、1999年Jリーグ・セカンドステージチャンピオンと華々しい結果を残していったが、トップチームでの出場機会に恵まれない石田は、2000年1月をもって清水エスパルスから戦力外通告を受けることになる。しかし再起を賭け、2001年4月、東京ヴェルディ1969とサテライト練習生契約を結ぶが、ここでも状況はあまり変わらなかった。

カフェの店員が、せわしなくパスタを運んできた。「いただきます」と静かに言った後、器用にスプーンとフォークでパスタを口に運ぶ。隣のテーブルからは、昨日のテレビ番組の話で盛り上がっている会話が無作為に耳へと流れてくる。
 「俺が中学校の頃、周りにサッカーが上手いヤツはごまんといました。1979年生まれなんで、小野伸二や稲本潤一、高原直泰と一緒の歳なんですけど、当時、彼等以外にも上手い選手はゴロゴロといました。でも、俺の知っている限りでは、もうみんな消えちゃいましたね。理由は、ここでしょう」
と言いながら、右手で拳を作り、胸のあたりを2回ほど叩いた。