新型コロナウィルス感染防止のためオーストラリア政府が国境を閉鎖して、一年以上が経ちます。そして、2021年に入って6月29日から3回目のロックダウン措置がとられたパース。今まで定期的に日本に帰国し、オーストラリアで子育てしている子どもを自分の両親、子どもにとってはおじいちゃんおばあちゃんに会わせ、家族団らんを楽しんでいた人も多くいたでしょう。「自分はどうやって育てられたのか。その話を参考に自分の子育てにも役立てていた」という人も少なくないはず。しかし、帰国できない今の状況で、話の内容によっては当地の友達にはまだできないといった悩みを抱えている人もいるでしょう。そんな悩みを抱えた親御さんから「うちの子は大丈夫なのか?」という子育てについてよく相談を受けるという、日本語で診察ができる日本語医療センターのマネージャー、千綿真美さん。今回はその悩みについて伺いました。
写真:一部の写真はイメージです。
子育てをしている親御さんからどのような相談を受けるのですか?
千綿さん:多くの親御さんから「他の子と比べると言葉が遅い」「手先が不器用」「落ち着きがない」「ネットで検索したら自閉症かもしれない」「ADHD(注意欠陥多動性障害)かもしれない」などと様々です。最近では発達障害という言葉の認識が広まり、良くも悪くもネット上では情報が氾濫し、数多くのセラピーで“早期療育が大切”などといった情報が多く見受けられます。でも、検索すればするほど何が本当なのか?我が子は本当に発達障害なのか?ともっと悩んでしまい、混乱するばかりです。
発達は子どもによって個人差が大きいのでは?
千綿さん:はい、子どもの発達には個人差があります。小さい時ほど発達過程の凸凹は激しいのですが、成長と共に段々その凸凹が目立たなくなっていくのがほとんどです。親御さんの立場だと、特にできないことがひどく気になり、焦ってしまいますが、ここでまず大切なのは他の子と比べないということ。「〇〇ちゃんは3歳でこれができているのにうちの子はできていない」かもしれませんが、〇〇ちゃんは3歳10ヶ月で、もうすぐ4歳だけどうちの子は3歳になったばかりかもしれませんし、〇〇ちゃんはこれができてもうちの子ができている別のことはできていないかもしれません。繰り返しますが、子どもの発達には個人差があり個性もありますから、凸凹していてもその子自身が少しずつできることが増えていけば、それほど焦らずに、その子の発達を見守ってあげることが大切になるでしょう。いろいろなアドバイスを耳にして、頭ではわかっていても自信がない、心配という親御さんの気持ちはよくわかりますが…。
しかし、その“もしも”を医学的に診てもらうには?
千綿さん:正式なアセスメントを受けなければなりません。しかし、ここパースの現状、子どもの発達障害のアセスメントを受けるための小児科専門医の予約を取るのに、まず数ヶ月先になることが一般的です。そこからまた様々なアセスメントを受け、診断を確定するにはさらに数ヶ月と、長い道のりとなります。そして、アセスメントは英語で行われるので、日本人夫婦の子どもで日本語優位だとなかなか難しいものでもあります。
今のこの状況では簡単に日本に帰国できないですし、アセスメントまでの道のりを考えるとさらに悩みを増す親御さんも多いのでは?
千綿さん:私自身、自分の子どもの発達障害のことでずいぶん悩み、いろいろなことを経験しました。また、プライベートでも仕事を通してでも、いろいろな方をみてきましたが親御さんとしての悩み、焦り、ストレスはみんな同じです。自身の経験を生かし、また日本の国家資格を持つ臨床心理士とも提携して相談にのっております。悩んで悶々としていないで、まずはご相談下さい。
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千綿 真美さん
日本語医療センターのマネージャーとして、診察時の日本語への通訳やその他医療手続きの代行も行ってくれる。
【情報提供】
〈日本語医療センター〉日本語でサポートが受けられ、海外旅行傷害保険キャッシュレスサービスも提供する。
日本語フリーダイヤル(予約) 1800-777-313
住所:Level 1, 713 Hay St. Perth WA 6000 (Perth Medical Centre内)
電話:08 9486 4733
ファックス:08 9321 4778
ウェブサイト:www.nihongoiryocentre.com.au