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第46回「オーストラリア代表と日本代表の監督比較」

サッカーロシアW杯本番まで2ヶ月を切りました。オーストラリアと日本のA代表の直前現状を前回号(第45回)でお伝えしましたが、日本代表は過去に例のない本番直前の監督交代劇を引き起こし、結果如何では「暴挙」とも言われかねない手段をとりました。一方、オーストラリア代表にしても、本大会出場を決めた直後に監督が交代しましたが…。そこで早速、恒例の問題です。

 

Q  オーストラリア代表のベルト・ファン・マルヴァイク(Bert van Marwijk)監督と、日本代表の西野朗監督、クラブチームを率いた時も含めてそれぞれ優勝回数は何回あるでしょうか?

 

A  オーストラリア代表のファン・マルヴァイク監督が2 回、日本代表の西野監督は6回でした。

 
実際に両国の代表監督の実績を比較してみましょう。クラブ監督時代のチームと優勝実績(メジャー大会のみ)、そして代表監督歴(優勝実績は共になし)を列挙します。
 

【ベルト・ファン・マルヴァイク監督】
<クラブ監督歴&優勝実績>
・フェイエノールト・ロッテルダム/Feyenoord Rotterdam(オランダ)
 UEFA Cup優勝(2002年)、KNVB杯優勝(2009年)
<代表監督歴>
・オランダA代表(2008年~12年 ※2010年W杯準優勝)
・サウジアラビアA代表(2015年)


【西野朗監督】
<クラブ監督歴&優勝実績>
・柏レイソル(日本)
 ナビスコ杯優勝(1999年)
・ガンバ大阪(日本)
 リーグ優勝(2005年)、ナビスコ杯優勝(2007年)、ACL優勝 (2008年)、天皇杯優勝(2008年、2009年)
<代表監督歴>
・U20日本代表(2001年~02年)
・U23日本代表(2004年~06年)

 

 
さて、優勝回数は日本代表の西野監督が上回っていましたが、実績で言えば、世界的にみても間違いなくオーストラリア代表のファン・マルヴァイク監督でしょう。ちなみに日本代表の西野監督は、A代表を率いるのは初めてです。
 
ファン・マルヴァイク監督はフェイエノールト時代にUEFA Cup(現UEFAヨーロッパリーグ)に優勝しており、またオランダ代表を2010年W杯で準優勝に導いているといった実績を持ち、世界に対し名を売っています。それに対して西野監督は、日本国内では名前は知られていますが、国外に対してはほぼ無名と言ってよいでしょう。唯一、1994年のアタランタオリンピックにU23代表を率い、ブラジル代表を破った際に世にインパクトを与えましたが、実績面ではやはりファン・マルヴァイク監督の方が高いと言えるでしょう。
 
オーストラリア代表監督就任直前のファン・マルヴァイク監督は、サウジアラビア代表監督をしており、サウジアラビアをW杯本大会に導きました。が、サッカー協会と条件面で折り合いがつかなくなり、自ら退きました。解任された訳ではないようです。前号でも述べましたが、サイクルの途中で就任させるにはガッチガチの戦術家よりも良質なモチベーターの方が良いと考えている筆者にとって、オーストラリア代表は良い選択をしたのではないかと考えています。
 
西野監督は、本大会2ヶ月前にカンフル剤注入目的で代表監督に就任したと考えられる。それまでは日本サッカー協会の理事として裏方にいた同氏を、急遽代表監督に就任させねばならない急場凌ぎ感が否めません。もはやテストする時間はなく、西野監督の色を出すことは難しいでしょう。唯一最終メンバー選考で多少色を出すことは可能かもしれませんが…。
 
以上からも代表の先導役である監督を比較してみると、就任前の実績や就任したタイミング、そして監督を選んだ動機からしてもオーストラリア代表の方が“まだマシ”なような気がします。ファン・マルヴァイク監督も本大会直前の就任と言えますが…。あまり好意的なことを言い添えるのは難しい感じがしますが、両国が本大会にてイレギュラーを起こしてくれることを切に願っています。

 


【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/

 







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