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4月16日ホームでの初戦迫る!ラグビー日本人女子選手がウェスターンフォース・ウーマンを牽引!

世界最高峰の男子ラグビーリーグ「スーパーラグビー・パシフィック(前身:スーパーラグビー)」の女子版「スーパーW(Super W)」の「Western Force Women(ウェスタンフォース・ウーマン)」に日本人選手2名が加入した。そして、アウェイの3月24日に行われた開幕戦(Round 1)、31日の2戦目(Round 2)ともに惜敗したが、続けてアウェイでの3戦目(Round 3)では見事にシーズン初勝利!そして、4月16日のホームでの初戦(Round 4)では日本人選手が加わった新生“フォース”が地元ファンの前でデビューする。

3月6日、日本国内で7人制と12人制の2冠を制した女子ラグビーの「東京山九フェニックス」からFW柏木那月(かしわぎなつき)選手とFWの佐藤優奈(さとうゆな)選手が、西豪州パースに拠点を置く「ウェスタンフォース・ウーマン」に加入したことが発表になった。そして、3月11日にシーズン開幕戦(3月24日)に向けてプレシーズンマッチがHBF Parkで本戦さながらに行われた模様を取材した。

協力・情報提供:Western Force

 

スペシャルインタビュー

柏木那月選手と佐藤優奈選手に日豪のラグビーの違いやリーグ戦への意気込みについて伺った。そして、ウェスタンフォース・ウーマン監督のMatt Hodgson(マットホジソン)氏と、ストレングス&コンディショニングコーチの甲谷洋祐(こうたにようすけ)氏にもリーグ戦におけるチームが目指すところなどについてインタビューした。

インタビュー日:3月9日
 

柏木那月選手と佐藤優奈選手(写真左が佐藤選手、右が柏木選手)

 

パースエクスプレス(以下、PE):パースには柏木選手が2月22日と佐藤選手が24日にそれぞれ到着されたようですね。まず、今回の移籍への流れを教えて下さい。

柏木選手:最初は、ウェスタンフォースからオファーを頂き、(在籍していた)東京山九フェニックスから自分たちのパフォーマンスのビデオを送って、観て頂いたのがきっかけでした。

PE:東京山九フェニックスの四宮洋平監督は、なぜチームの主軸選手を手放したのですか?

佐藤選手:四宮監督はご自身が学生時代、日本一になった時に次は海外と考え、そして海外でも活躍されてきた方でして、その経験を私たちにもしてほしいと前々からおっしゃっていました。私たちも今季、7人制と15人制の両方とも日本一になったので、次は世界へと四宮監督が背中を押してくれました。

PE:ウェスタンフォースに加入してまだ2週間弱ですが、コミュニケーションやパースでの生活はいかがですか?

佐藤選手:練習中、チームメートとは頑張って英語でコミュニケーションを取っています。日常生活はチームのマネージャーさんの家に、今はシェアさせてもらっていますが、食事は自炊してます!日本から調味料をかなり持って来たので、今のところなんとか(笑。

柏木選手:私はフィジー語が少し話せるので、フィジー語で会話しています(笑。練習は英語ですが、やることはラグビーなので大体は理解できています。

PE:パースに来る前、そしてチームに参加後のオーストラリアのラグビーの印象をそれぞれ教えて下さい。

佐藤選手:日本にいた時は、オーストラリアにはフィジカルが強い選手が多いといった印象でした。実際に昨年、日本代表がテストマッチでオーストラリア代表と、フィジー代表と戦っています。私はコロナでオーストラリア戦には出られませんでしたが、ランキングではオーストラリアの方が上ですが、正直、日本が勝てると思いました。結果、どちらの試合も勝ちました。日本は、スキルやフィットネス、細部へのこだわりが優っていると思います。ただ、体格ではオーストラリアだと思います。こちらに来れて、そのフィジカル面を体感できているのは良かったと思っています。

柏木選手:オーストラリアの選手は身体が大きいのでフィジカルが強くて、テンポが速いと思っていました。実際、こちらに来て一緒に練習してみた感想は、スクラムを組んだ時に感じた重さですね。日本では体感したことがなかったです。ただ、個人的に海外へ出たのが初めてでしたし、レベルの高いチームに移籍したと思っていますが、低くて強く、刺さるスクラムはこちらでも私の武器になると感じました。

PE:パースの第一印象を教えて下さい。

柏木選手:日本の地元は岩手県の釜石というところで海に近かったですが、今住んでいるところも海が近くて、LOVEです!しかも、きれいですし。昨日も泳ぎに行きました!それと、街中で日中からハンバーガーとビールのセットで楽しんでいる人がいますよね、しかもいっぱい!羨ましいです(笑

佐藤選手:建物だけではなく、街の中にほどよく緑があるのは良いところだと思います。過ごしやすいところだと思います。

PE:では最後に、ウェスタンフォース・ウーマンのメンバーとなり、シーズンにかける意気込みをお聞かせ下さい。

柏木選手:自分は、海外でプレーしたいと子どもの頃から思っていたので、このオファーを頂いたときは本当に嬉しかったです。まだチームに加わって2週間足らずですが、入団したチームは家族だと思っています。今は、“One for all, all for one”の気持ちです。自分ができることを最大限に発揮して、チームの勝利に貢献したいと考えています。

佐藤選手:まずは、チームにコミットして、得意なプレーをどんどん出しながら勝利に貢献できるよう頑張りたいと思っています!

 

ウェスターンフォース・ウーマン監督のMatt Hodgson氏

 

PE:現役引退後、クラブのジェネラル・マネージャーとしてフロントで手腕を発揮されていましたが、ウェスターンフォース・ウーマンの監督にはいつ就任したのですか?

Hodgson監督:今年の1月にこの「スーパーW」のチームを預かることになりました。一部の選手はまだまだ経験が浅かったり、プロのレベルで試合をこなしたことのない選手もいる中、約3ヶ月間、トレーニングを積んできました。今はその選手たちがシーズンを通して更に成長し、良い結果が出せるよう期待しています。

PE:なぜ日本人選手の獲得に動いたのですか?

Hodgson監督:2つの理由があります。最初に、過去のウェスタンフォースのチーム変遷をご存じならばおわかり頂けると思いますが、クラブとして常に日本のチームとのコネクションの構築を大切にしてきました。クラブ間で所属選手が相互に行き来し、互いにレベルの高いプレーを体験する機会を作り、選手育成を目指す狙いがあります。

PE:確かに、男子チームですが2015年に当時日本代表でパナソニック・ワイルドナイツに在籍していた山田章仁選手が1シーズン、ウェスタンフォースに移籍しましたね。では、2つ目の理由は?

Hodgson監督:選手だけではなく、チームが日本とパースを行き来し、フレンドシップマッチなどを行うことで、選手の枠を超えてグラブ間で文化的な交流もできればと考えています。実際、男子チームは昨年の11月には日本で浦安D-Rocksとエキシビションマッチを行いましたが、過去に遡れは2019年にはW杯のための日本代表候補チームと強化試合をしたり、逆に2018年にはパナソニック・ワイルドナイツがパースに来てエキシビジョンマッチを行いました。

PE:加入した柏木選手と佐藤選手には何を期待していますか?

Hodgson監督:まだチームに参加して2週間足らずですが、もうすでに彼らの溢れるばかりのエネルギーとプロフェッショナリズム、学ぶ姿勢を目にしています。違う文化とここでのラグビーを学ぼうとしていることも評価していますが、特に那月選手のフロントローの走りと優奈選手のタックルで、彼らが試合でインパクトを残すことを期待しています。

PE:ストレングス&コンディショニングの甲谷コーチと一緒に仕事をされていかがですか?

Hodgson監督:彼のトレーニングを去年から受けている選手は既に成長が見られ、新しく加入した選手にも変化が表れています。ジムで作られたフィジカルの強さや速さをフィールドに移して実践に役立てている甲谷コーチの功績は本当に素晴らしいです。

PE:最後に今シーズンのチームの目標と、パースの日本人読者へ一言お願いします。

Hodgson監督:ここ近年、ウェスターンフォース・ウーマンはあまり良い成績を残せていませんが、今シーズンは試合ごとに成長しながら、最終的にはトップ4を目指しています。そして、日本人選手が活躍するエキサイティングな試合を是非、試合会場に応援しに来てください!

 

ウェスターンフォース・ウーマンのストレングス&コンディショニングコーチの甲谷洋祐氏

 

PE:最初に、チームにおけるご自身の役割をお聞かせ下さい。

甲谷コーチ:ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチとして、ジムではウェイトトレーニングによる筋力及び筋出力の向上、フィールドではジムで培ったその筋力により、パフォーマンスを向上させるためのコンディショニングトレーニングの指導を行っています。

PE:スポーツ全般に共通するコーチングだと思いますが、なぜラグビーチームでその職に就かれたんですか?

甲谷コーチ:過去、日本でラグビーの社会人チームやU20の日本代表チームをコーチしていた経験もあり、また地元パースのクラブチームや西豪州代表ラグビーチームもコーチをしていたので、その関係で昨年の11月から今のポジションで仕事をすることになりました。

PE:シーズン開幕まで約5か月の準備期間でしたが、男子チームのコーチングと何か違いはありますか?

甲谷コーチ:この5ヶ月の準備期間に、こんなことがありました。S&Cトレーニングにチームとして気持ちが入っていなかったので、セッションを一つ潰して、「ウェスタンフォースのジャージ(ユニフォーム)を着るということは家族や友人、監督やコーチなど、自分たちの周りにいる全ての人達の代表としてピッチに立っているということを忘れてはいけない。そういう思いで練習し、試合に臨まなければならい」と話したことがありました。メンタル面でも選手たちにコーチングしていますが、強いて言うならば女子はまだセミプロなので、選手側の意識の面で違いがあります。

PE:シーズンが開幕しましたが、ご自身の目指すところは?

甲谷コーチ:チームが勝つこと、それをサポートすることが自分の与えられたポジションなので、とにかくチームの勝利です。

PE:最後に、今回の佐藤選手と柏木選手の移籍の橋渡しになられたと伺いました。お2人に期待することは?

甲谷コーチ:監督とミーティングしている時に「日本に良い選手はいないか?」という話になり、友人でもある東京山九フェニックスの四宮監督にすぐに連絡を入れ、今回の運びとなりました。2人ともスキルは高いレベルを持っていますし、ワークエシックスにおいても何事も一生懸命に取り組んでいます。ひとつずつタスクを完了して、次へ次へと進んでいこうとする2人のワークエシックス、つまりラグビーと向き合う姿勢や向上心がチームへ徐々に浸透していくことを期待しています。

 

シーズン開幕に向けて日々の練習は大詰めに!

夕方から行われた練習は照明を使いながら夜間まで続いた。そしてその後、柏木選手と佐藤選手はジムに向かい、筋力トレーニングに励んだ。

—柏木那月選手と佐藤優奈選手

 
—Matt Hodgsonウェスターンフォース・ウーマン監督

 
—ウェスターンフォース・ウーマンの甲谷洋祐ストレングス&コンディショニングコーチ

 

3月11日のプレシーズンマッチ

3月11日、シーズン開幕に向けてのプレシーズンマッチが行われた。3月11日と言えば、2011年のこの日に戦後最大の自然災害となる東日本大震災をもたらした巨大地震が発生した。実は柏木、佐藤両選手は東北出身で、小学校6年生の時に被災している。プレシーズンマッチとはいえ、2人にとって特別な日でのオーストラリアにおける実践デビューとなった。試合結果は、63-0でウェスタンフォースが圧勝だった(対戦相手:South Australian Black Falcons/南オーストラリア州で選抜されたチーム)。

当プレシーズンマッチの前日のインタビューで柏木選手は、「日本では小さい頃からラグビーをしていて、生まれ育った地元の人たちにもすごく応援してもらってきました。日本の家族のことを思う気持ちは常にあります。ここで活躍して、良い報告ができればと思っています」と話していた。また、プレシーズンマッチ終了直後に当マッチの感想を伺うと、佐藤選手は「今日の勝利もですが、これからの私たちの頑張りが、東北の人たちにも届けばいいなと思います」と大粒の汗を拭いながら答えてくれた。

 

ホーム初戦とRound 5、みんなで応援しに行こう!

開幕から3戦を終え、1勝2敗で順位は4位(4月8日現在)のウェスターンフォース・ウーマン。そして、迎えるホームの初戦とRound 5。2023年のシーズンはこの5試合の結果でファイナルシリーズ進出の不可が決する。Round 5もホームゲームのウェスターンフォース・ウーマンは連勝で上位4位に喰い込み、ファイナルシリーズ進出を狙う!
※Round 1で佐藤選手が試合中に負傷。ホームでの試合出場はコンディション次第となっている。

<Round 4(ホーム初戦)>
●対戦相手:Fijiana Drua
●日時:4月16日(日曜日)/ 3:05キックオフ
●場所:McGillivray Oval(10 McGillivray Rd, Mount Claremont)

<Round 5>
●対戦相手:Brumbies Women
●日時:4月22日(土曜日)/ 3:05キックオフ
●場所:HBF Park(310 Pier St, Perth)

●チケットの詳細は【ウェスタン・フォース】までお問合せ下さい。
 

プロフィール
柏木那月(かしわぎなつき)

 
1998年9月22日生まれ、岩手県釜石市出身。158センチ、75キロ。ポジションはフロントロー。小学校3年生の時に釜石シーウェイブスジュニアでラグビーを始め、岩手県立釜石商工高等学校の2、3年生の時に花園女子15人制に出場。日本体育大学に進学し、1年生の時に15人制全国女子選手権で優勝。大学卒業後、2021年に東京山九フェニックスに加入。そして2023年に念願だった海外でのプレーを実現させ、ウェスターンフォース・ウーマンの一員に。2019年に日本代表候補に選出。

 

佐藤優奈(さとうゆな)

 
1998年9月11日生まれ、宮城県古川市(現大崎市)出身。170センチ、75キロ。ポジションはロック。小学校5年生の時に古川ラグビースクールでラグビーを始め、石見智翠館高等学校の2、3年時に全国高校選抜(7人制)で優勝を経験。2017年に慶應義塾大学に進学しながら東京山九フェニックスに在籍。大学卒業後、引き続き東京山九フェニックスでプレー。2023年にウェスターンフォース・ウーマンに活躍の場を移す。2019年に日本代表入り。2022年にはW杯に出場。

 

Matt Hodgson(マットホジソン)

 
元ワラビーズ(オーストラリア代表)として11試合に出場。ウェスタンフォースで2017年に現役を引退し、同チームで140試合の最多出場記録を持つ。引退後はフロントでクラブ運営に手腕を発揮したが、2022年に女子7人制でコーチングスタッフに名を連ね、今年2023年から「スーパーW」の監督に就任した。

 

甲谷洋祐(こうたにようすけ)

 
アメリカの大学と大学院でスポーツ医学、及びスポーツ科学を学び、修了後にストレングス&コンディショニングコーチとして同大学で働き、日本帰国後、全日本女子バレーボールチーム、社会人ラグビーチームに仕事場を変えた。2017年に渡豪し、2022年には博士課程(スポーツ科学)を修了し、地元パースや西豪州代表のラグビーチームでのコーチングを経て、現職に至る。

 

 
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