遡ること昨年の3月15日、西豪州政府は『西豪州全土に非常事態および公衆衛生非常事態を宣言する』と発表しました。また、スコット・モリソン豪州首相も記者会見で『3月15日深夜(16日の0時)から海外から豪州への渡航者全てに対して、14日間の自主隔離措置を求める』と言い、3月22日に同首相は新型コロナウイルスの感染者急増を受け、『オーストラリア全州にて3月23日正午からレストランやカフェ、各種施設を閉鎖』を発表し、全豪で事実上のロックダウン措置が取られました。
あれからほぼ一年。
ヨーロッパやアメリカ大陸、そして日本に比べれば新型コロナウイルス感染症拡大防止策への政府の対応は積極的とも言えるオーストラリアですが、防止策の砦の一つと考えられているワクチンに関しても世界各地での働きかけと同様にオーストラリアでも接種が始まっています。2021年2月21日にスコット・モリソン豪州首相が接種し、同日に5,000回分のワクチンがパース空港にも到着しました。西豪州では翌日の2月22日からワクチン接種が開始されています。空港・検疫・警察および国境労働者など感染リスクの高い最前線の医療スタッフなどが最優して接種を行い、ハイアットホテルに設立された州内初のワクチンクリニック、そしてパース空港やフリーマントル港にもワクチンクリニックが設立され、各所でワクチン接種が行われています。
Australian Government Department of Health(オーストラリア保健省)では、「ワクチン接種を希望する全ての人に無料で安全なCOVID-19ワクチンを接種することを目指しています」と謳いながら、接種の順番をグループ別にして行っています。ただ、“その順番はいつ来るのか?”、“かかりつけの医者で受けられるのか?”、“全ての人が無料で受けられるのか?”などといった素朴な疑問を抱いている人もいるでしょう。今回の【パースの医療現場から】は、COVID-19予防接種(新型コロナワクチン接種)について日本語で診察ができる日本語医療センターのマネージャー、千綿真美さんに伺いました。
写真:一部の写真はイメージです。
まず、COVID-19予防接種についての問い合わせはございますか?
千綿さん:そうですね、最近になって問い合わせが来るようになりました。
最初に、どのようにごご返答されているのですか?
千綿さん:まず、COVID-19予防接種はまだ一般のGP(一般開業医/General Practitioner)では行っておりませんとお応えしています。3月22日からGPでの接種が開始となる予定ですが、ワクチンの入荷は限られるため、一斉に誰でも受けることができるわけではありません。
GPならば、どこでも受けれるんですか?
千綿さん:いいえ。全てのGPで受けられるわけではありませんので、自分のかかりつけのGPで受けれることがきるのかどうか問い合わせが必要となりますね。
日本語医療センターはいかがですか?
千綿さん:はい、日本語医療センター(パースメディカルセンター/Perth Medical Centre)では受けることができます。当センターでは、4月5日にワクチンの入荷が予定されています。
日本語医療センターでも受けられる優先順位はありますか?
千綿さん:接種に関して、年齢や現病歴、既往歴によって優先度が決められます。まずは予約を取って頂くことになりますが、ワクチンの入荷数も限られていますので、全ての人が一斉に予約が取れるようになることはありません。
接種の方法を教えて下さい。
千綿さん:COVID-19予防接種は、1回目を接種したら3ヶ月後に2回目の接種が必要とになります。2回の接種でワンセットとなります。オーストラリアでのCOVID-19ワクチンは、ファイザー社(Pfizer)とアストラゼネカ社(AstraZeneca)のワクチンが接種可能となります。ファイザー社のワクチンですと2回目の接種は3週間から6週間後となっていますが、当クリニック含め当地のGPでは基本的にアストラゼネカ社のワクチン接種となります。よってアストラゼネカ社のワクチンでは2回目接種は3ヶ月(12週)後ということになります。現時点では、ファイザー社のワクチンなのか、アストラゼネカ社のワクチンなのかといったどちらのワクチンを接種するかについて、個人が選ぶことはできません。
COVID-19予防接種は誰でも受けることが可能なのですか?
千綿さん:メディケア(Medicare/オーストラリアの国民保険)を持たない外国人も無料で接種することができますが、GPで接種することはできません。持っていない外国人に関しては政府の指定するフォームに各人で登録した上、政府指定の場所へ行って受けることになりますが、まだ詳細は決まっていないようです。
オーストラリアはこれから冬に向かいますが、インフルエンザの予防接種と一緒にCOVID-19予防接種を受けることはできますか?
千綿さん:例年、インフルエンザの予防接種は4月前後に始まります。現時点ではインフルエンザのワクチン入荷は未定ですが、今年も予定通り同じ時期から行われると思います。しかし、インフルエンザとCOVID-19の予防接種は同時に接種することができません。どちらかを接種した後、最低2週間は空けなければいければ、もう片方を接種することはできません。
最後に、COVID-19予防接種についての最新の情報はどちらで得ることができますか?
千綿さん:ワクチンの入荷日などはあくまでも予定ですので、当センターやかかりつけのGPに慌てずにお問い合わせやご予約を行って下さい。更なる詳細がわかり次第、日本語医療センターのFacebookなどでも情報をアップデートする予定です。
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千綿 真美さん
日本語医療センターのマネージャーとして、診察時の日本語への通訳やその他医療手続きの代行も行ってくれる。
【情報提供】
〈日本語医療センター〉日本語でサポートが受けられ、海外旅行傷害保険キャッシュレスサービスも提供する。
日本語フリーダイヤル(予約) 1800-777-313
住所:Level 1, 713 Hay St. Perth WA 6000 (Perth Medical Centre内)
電話:08 9486 4733
ファックス:08 9321 4778
ウェブサイト:www.nihongoiryocentre.com.au