午後7時、どこからともなく青いユニフォームを着た若者がパースの市街地に現れ、ノースブリッジのある店に吸い込まれていく。W杯観戦イベントに200人以上の日本人が集結した。主催したのは、モスマン・パークの飲食店「Wok
& Roll」で働く3人の学生。15件目でやっと交渉が成立した会場探しの苦労を語りながらも、予想以上の反響に満足気な表情を浮かべた。
歓声とともにキック・オフ。豪州優勢の時間帯が続き、固唾を飲んでじっと見守り続けた観客は、中村のゴールに一斉に両手を上げて歓喜した!日本がピンチを切り抜けるたび拍手が起こり、川口がファイン・セーブを見せるたびに川口コールが沸いた。後半39分、MFのケーヒルのゴールに無念のため息が漏れたが、すぐに日本コールが湧き上がった。終了間際の追加点でも「まだ行ける!」、日本代表を信じて声援を送りつづける会場に、アイロジの3点目が突き刺さった。凍りつく場内。目を閉じ、顔を覆い隠す。負けたのか…!?サポーター達は会場を後にしながらも、まだ目の前の事実を受け入れられずにいた。
街には勝利に歓喜するオージーたちが溢れ出し、敗戦の実感がこみあげる。そんな中、「次戦につなげましょう」「次もがんばって応援しましょう」と前向きなコメントをくれた来場者達に、勝敗だけに一喜一憂しない真のサポーターのまなざしを見た。日本人彼女とともに観戦したオージー青年も互いの健闘を称えた。勝利を飾ることはできなかったが、パースから心を一つにして日本代表に声援を送れたこと、それは間違いなく今日の成果だった。
レポート:本誌記者
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