アウンジョに饅頭の入った袋を渡すと、彼はそれを路上で物乞いをしているおじさんにあげてしまった。 「僕は今、お腹がいっぱいだからね」 ニコニコと笑顔で私を見上げる小さな彼が大きく見えた。彼の、そんなさりげない行動は、今でも脳裏に焼き付いている。 彼に初めて会ったのは、ビルマ(ミャンマー)の首都ラングーン(ヤンゴン)の下町、屋台が立ち並ぶ中華街の一角だった。彼は、いわゆる路上生活をしている子供達にまじって、テーブルを回りながら客から小銭をねだっていた。