写真撮影を続けながら、何の気なしにぶらぶらしていると、またまたアウンジョに出くわした。よく見ると、すぐそばにお父さんとお母さん「らしき」2人が路上に座っている。
「お父さんとお母さんか?」って聞く。コクンとうなずく。
「本当にそうか?お父さんとお母さんか?」。コクン。
アウンジョは時々、何を聞いてもコクンとうなずくから、本当かどうか分からない。
「おまえなぁ、お母さんとお父さんは、いないっていてただろうが」
コクンとうなずき、顔を下を向けたまま。まあ、それもありだな。
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彼とは毎日顔合わせをするわけではない。中華街に夕食を食べに行って、彼の姿を見ないと、少々寂しいこともある。久しぶりに会うと、ご飯を一緒に食べるようになってきた。路上生活をしている子どもの中でも小柄な彼は、よく見ていると、他の子に頭をこづかれていることもある。お金やご飯をくれそうな大人に手を差し出すのも後の方だ。
私は、お金をくれとつきまとう子どもたちに、「あかんねんでぇ、お金はあかんねん。ご飯を一緒に食べよ」と言う。他の子どもはそれでも手を出してくる。だが、いつの間にかアウンジョは、他の子に「やめなよ」と声をかけいるではないか。
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