「分かち合う」

 ご飯を終え、パンソーダン通りの高架橋を歩き始めると、彼がついてきた。もっとも、後ろを歩くというより、私を先導し始めた。 それも、私と手をつないで私をぐいぐい引っ張っていく。どういうつもりだろうか。どうやら私と一緒なのが楽しいようだ。ときどきニコニコしながら見上げる表情から、嬉しい、という感じが伝わってくる。こんなにストレートに意思表示をするなんて。ビルマ取材で疑心暗鬼が強まって、コリコリに凝り固まっていた自分の心がちょっと緩んでしまう。

 しかし、以前のことがあるから、周りの目を気にしなくてはならない。雨降りの高架橋の端までくると、「今日はこれまでにしようか。じゃあね、タッター(バイバイ)」と彼に告げる。一瞬、彼の表情が曇る。
  ゴメンな。でも、このまま分かれるのには、なんか残念だ。今日の夜にでも食べてくれたらいいだろう。私は持っていたパンと饅頭を彼に手渡した。

 

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