「分かち合う」

 いきなりそれか。
 
「お金はアカン」と答える。彼はビニール袋を手にしている。その袋の中には、くしゃくしゃになったチャット紙幣(ビルマのお金)が詰っている。
 
シャン麺でお腹がいっぱいになり、立ち上がる。近くの屋台の蒸籠にて、ホテルに戻ってからの夜食用としておこわを買う。アウンジョは、その間も後ろにぴったりくっついている。
 
「メシでええやろ」と改めて聞く。
 
「お金、500K、700K」としつこくせがんでくる。それは、今日のノルマだろうか。誰かに言われて物乞いをしているのは明らかだな。おそらく路上生活の子どもたちをどこかで見張っている「元締め」に働かされているのは一目瞭然だ。

 中華街の寺院の端まで後をついて来たが、大通りを越えるのはちょいと無理みたい。足早に歩いていたら、知らぬ間に消えていた。

  翌日、カレーを食べようと思って、日本食堂に向かってストランド通りを歩いていた。すると、見た顔に出くわした。アウンジョではないか。2日連続で会った。彼は、ニコニコしながら寄ってきた。
  「この辺に住んでいるのか?」「おまえ、ほんとはトシ、何歳やねん?」
  「6歳」
  「メシ食ったか?」
  「まだ。お腹空いたよ」
  近くの屋台で丼をごちそうし、じゃあね、と分かれる。 カレーでお腹をいっぱいにし、波止場や船着き場をうろちょろ歩き回る。
 

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