くったくのないアウンジョの写真を撮り始めて10日くらいったある日、彼を含めて路上生活の子どもたちの姿をまったく見ることがなくなった。突然だった。気になって屋台のおにいさんに聞いてみた。
「最近、こどもたちがいないけど、どうしたの」
彼は、私を指さし、カメラを構えて写真を撮す格好をする。
「私が写真を撮るから?」
「そうだよ」
それ以降、中華街付近で彼の姿を見なくなった。ビルマに長期滞在していると、外国人には良い面しか見せようとしないこの国の別 の姿が時に垣間見えてくる。
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2003年8月半ば、パンソーダン通とマアバンドゥーラ通りの角で偶然、アウンジョの姿を見かけた。
活動場所を中華街からこち らに移したようだ。だが、他に子どもの姿は見えず、ひとりっきりで物乞いをしているようだ。
「飯食ったか」
「まだ」
屋台に並んで腰掛け、チキンご飯(400K)を一緒に食べる。「『ほら、ありがとう』と言って食べるんだよ」。屋台のおばさんは、山盛りのご飯のお皿をアウンジョに手渡しながら、一声かける。
「この子のお父さんとお母さんは?」。屋台のおばさんに聞く。
「いないよ」。実際のところ、アウンジョは路上生活をしていることだけは事実のようだ。
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