また、基本的に私は、そんなメッセージ性のこもった作品が好きなのである。作品の体裁ばかりに凝り、作者の意図が分かりづらい作品、分かりづらくしようとするのは苦手である。分かり易く、深みがあり、優しさと、時には面白さを感じさせる写真がいい。
 まず、発表のため、作品作りのためだけの写真撮影を止めにすること。自分の感情のおもむくまま、自由な思考で被写体に接するのだ。簡単に撮った写真には、簡単なイメージしかできあがらない。写した写真は、果たしてどれだけ自分が撮りたかった写真なのか。
 そんな反省も必要である。

 日々消費されるイメージ情報。せっかく苦労して作り上げたとしても、その翌日、あるいは次の瞬間から過去のモノとして扱われる。

苦労して作ったものがそんな扱いをされる。そんな今の状況に、ノン!と言いたい。
 私は、歴史の検証に耐えうるヒューマニズムに徹した写真を撮っていきたい。また、そんな作品を他者に投げかけることによって、閉じているかもしれない個人を、個人と社会との関係をつなぐ可能性が開けるかも知れない、とも信じたい。
 だからこそ、とりあえず、撮る。撮って考える。撮りながら考える。どうして撮っているのか考える。限られた時間、空間(地域)、自分の選んだ主題や題材をもとにして撮り続けると、自分が出てくる。今はまだそれしかない。机の前で考えていても仕方がない。
 だからこそ現場に行き続ける。


 


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