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[第8節] サッカー選手とメディア

石田 「サッカー選手としてメディアに接するときは、ありのままの姿を正直に、誠実に話そうと心掛けている。話す相手を尊重する。対人間として。メディアとか選手とかの枠を超え、人と人との付き合いで、お互いに信用するからこそ話ができる」

— 話者と聞き手の境界は存在すべきだと思う。踏み入れる先に共通点があるのならば、お互いに心地良さを共有できる。それは、思いやりと感謝の念があるからこそ生まれる。だが、境界の有無は両者の質を高めるためにも必要となるはずだ。

石田 「週刊誌は何かちょっと面白いことを書けば、売れる。日本の社会がそういうシステム。そして、日本の名誉毀損の損害賠償額は、すごく低い。数百万程度。アメリカは億単位。数百万の損害賠償だったら、売上げでカバーできてしまう」

— 一部のメディアで、サッカー選手のプライバシーを侵害するような悪質な報道がなされたのも事実である。これは、報道する側の選手に対する直接的な悪意というより、無神経さ、人任せ的な姿勢が原因している。しかし、その無神経さが単一個人のものではなく、組織の構成員によって行われていたなら根は深いところにありそうだ。まして、その構成員がその組織への忠誠心によって作り上げたものなら、大問題である。己の身体で勝負する選手にとってプライベートが制限されることは、試合でのパフォーマンスに影響を及ぼしかねない。背もたれを利用した無責任な報道は、決してあってはいけないことである。