しかし、準備を怠らなかったとしても、不可抗力は避けられない。石田のレベルにおいて、けがと成功は、表裏一体の関係である。

「プロのサッカー選手で『痛いところがない』なんて言っている選手は、働いていない選手でしょうね。自分も痛いところは、いっぱいあります。サッカーをしていて、痛くなかった時の方がないぐらいです。でも幸いにして、重度のけが、長期で戦線離脱するようなけがは今までに1回もないんです。しかし、シドニーのオリンピック・シャークスへ移籍した最初の年（2001年）、パース・グローリーとのグランドファイナルでは、けがのためベンチスタートでした。シーズンを通してレギュラーで試合には出ていましたが、そのグランドファイナルの1ヶ月前にふくらはぎを痛め、4戦も試合から離れました。その時、けがということは自分を苦しめ、ポジションを失うことだと再認識しました」

絶対の選手はいない。がしかし、一流の選手はけがをしてもいいプレーができる。2001年のグランドファイナルでは、けがを押して途中出場した石田のプレーは、チームの優勝に大きく貢献した。