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【新型コロナウイルス関連】「前島イズム」でお馴染みの前島一貴さんが体操選手の海外活動をサポート!



 
パースエクスプレスマガジンの人気連載コーナー「前島イズム 継続の“エクササイズ”」でお馴染みの前島一貴さんが、新型コロナウイルスの影響により日本へ帰国されました。パースに残された私たちにとっては惜しまれつつの日本帰国となってしまいましたが、前島さんは帰国当日から積極的に自身の掲げた使命に向かって突き進んでいるようです。

今回、ここではその前島さんに日本への帰国の経緯や帰国後の活動、体操選手の海外活動サポート事業の立ち上げについて、また「日本初男子オンライン体操競技イベント」開催など3月以降急変されたご自身の生活やお仕事についてお話を伺いました。
 
 

<「前島イズム」でお馴染みの前島一貴さん。帰国後も精力的に体操業界で活躍>
 
 

【日本に帰国】

 
日本へのご帰国の理由をお聞かせ下さい

前島さん:「新型コロナウイルスの影響です。スポンサーを条件にビザを頂いていた所属の会社がロックダウンのため完全に営業をストップせざるを得ず、またビザの条件上、所属以外の所で働くことができないため、やむを得ず日本への帰国となりました。さらに、自分のビザのカテゴリーだと政府からの援助の保証もなかったので、早々に帰国を決断しました。」
 

<パースの体操クラブでコーチとして働いていた時の前島さん>
 
 
その決断に際して、最も辛かったことは何でしたか?

前島さん:「会社に『母国に帰ります』と自分の決意を伝えてから5日間で全ての手続きを済ませ、緊急帰国となってしまいました。オーストラリアにはトータル8年半いましたが、その滞在中にお世話になった多くの体操関係の先生や、指導させて頂いた選手の家族にしっかり挨拶ができなかったのが一番辛かったです。」
 

<新型コロナウイルスの影響により3月23日の豪州国内ロックダウン実施後、8年半住んだオーストラリアを後にすることを決断した前島さん。一部の親しい友人や知人には急遽挨拶できたが(写真右はストレングス&コンディショニングコーチとしてパースで活躍する甲谷洋祐さんと)、家財道具の処分や引っ越し、転居の手続きを大急ぎで行った>
 
 
ご自身の夢半ばでの軌道修正といった面もあったのですか?

前島さん:「その点はありませんでした。常日頃、自分の仕事には全力で取り組んできましたので、いつ終わっても悔いのない仕事をしてきたつもりでしたので。」
 

<日本への急遽帰国を余儀なくされた。前島さんもロックダウン後の3月28日、シドニー空港を経由して成田行きのフライトに飛び乗っていた>
 
 
ご帰国は、将来を見据えた軌道修正にもなりましたか?

前島さん:「実は、オーストラリアで出会った体操競技経験者でひとりの優秀な日本人が、私と同じようにこのパンデミックの影響でオーストラリアから日本に帰国せざるをえなくなってしまいました。その日本人とタッグを組み『僕らにしかできないこと』を形にできるきっかけに、この帰国はなりました。」
 

<オーストラリアでの出会いが日本での「自分たちしかできないこと」へと展開する>
 
 

【日本での活動】

 
日本に帰国され、一番最初にされたことは?

前島さん:「まずは、収入の確保です。オーストラリアで貯めた資金は豪ドルがあまりにも安かったので使う勇気が出ずにいました。しかし、幸運にも帰国した当日には2つの体操クラブからお仕事のオファーがあり、現在もその体操教室で指導をさせて頂いています。そして、そのオーストラリアで知り合った日本人とビジネスを立ち上げました。」
 

<コロナ禍中、オンラインでのレッスンも数を重ねた>
 
 
どんなビジネスでしょうか?

前島さん:「優秀な日本人とは、伊藤翔さんと言います。オーストラリアのメルボルンにあるMelbourne Gymnastics Centreのヘッドコーチを務めていた伊藤さんと『体操で日本と海外をつなぐ』をコンセプトに今年の6月に起業しました。会社名は、「Jymnection(ジムネクション)」。名前の由来は、JapanのJと、Gymnasticsのym、Connectionのnectionをつなげた造語です。3語が示すように体操を通じて日本から『世界への懸け橋を私達がつくります』といった思いが込められています。ジムネクションは私が代表として、伊藤さんはジムネクションのメンバーとして活動しています。具体的な活動内容は、体操英語学習、体操留学サポート、合宿コーディネート、国際大会帯同、エージェント活動が主で、対象は中学生から社会人とさせて頂いています。ウェブサイトはこちらになります。https://jymnection.wixsite.com/mysite
 

<起業にあたり伊藤翔さんと事業内容について再三、打ち合わせが行われた>
 
 
ウェブサイトを拝見しましたが、活動の場は他にも広げられていますよね?

前島さん:「はい。安全かつ正確な技術をビデオ分析、補助、デモンストレーションを取り入れながら、全国のチアリーディングのタンブリング指導、講演会を開催しています。そして、主に都内にてスーパーバイザーとして子ども達に体操の指導をさせて頂き、プロの体操競技コーチとしてオンラインの英語体操教室にて若い指導者にアドバイスの提供などもしております。」
 

<U18の日本代表としても活躍していた、現役時代の前島さん>
 
 
日本でのそれらの活動は、パースで得た経験を活かされているのでしょうか?

前島さん:「オーストラリア滞在中、国際体操連盟のコーチングライセンスを取得したこと、またオーストラリア・パースの前職場『High Flyers Trampoline & Gymnastics Academy』での指導経験が現在の指導に非常に活きています。」
 

<パースの体操クラブでは日本の体操クラブを招致して、指導にあたっていた前島さん>
 
 
今の活動を将来的にどのように展開させていきたいですか?

前島さん:「一番は自分の会社『Jymnection(ジムネクション)』の事業拡大です。現在、新型コロナウィルスの影響で活動内容の一つとなっている海外留学サポートや国際大会帯同ができない状態ですが、将来は海外に体操留学を希望している体操関係者、またセカンドキャリアを考えている体操関係の学生さん、社会人の皆さんの渡航のお手伝いさせて頂きたく思っています。」
 

<オーストラリア・パースでの経験を活かし、“自分にしかできないこと”の実現に邁進する前島さん>
 
 

【日本初男子オンライン体操競技イベント】

 
コロナ禍中だからこそ企画された活動もございましたね?

前島さん:「日本初の男子オンライン体操競技イベント『「Virtual Gymnastics League」シダックスチャレンジ』の開催に一助しています。企画者は、体操YouTuberの『シダックス』、運営者は前出の伊藤翔(Idemic代表)さん、運営コンサルタントとしてGym Plus代表取締役の中村祐介さんが中心に開催に向けて尽力されてますが、私は支援者代表兼ゲストとして携わっています。」
 

<男子オンライン体操競技イベント『「Virtual Gymnastics League」シダックスチャレンジ』の企画者、体操YouTuberの『シダックス』のYouTubeチャンネル・トップページ(左)と、運営者の伊藤さんと前島さん(写真右の中央2人)>
 
 
大会開催の動機を教えて下さい。

前島さん:「東京オリンピックをはじめ、2020年の今年は多くの大会が中止になりました。中でも、オリンピック出場に向けて準備をしていた選手、インターハイや国民体育大会での活躍を目標にしていた高校生にも大きな影響を与えています。そこで、新型コロナウィルス感染のリスクを避けることを第一に考えた上で、体操競技者に失われた活躍の場を提供しようと思い立ちました。それが、オンライン上で行える体操競技イベントでした。」
 

<名門日本体育大学の体操競技部でキャプテンを務めていた頃の前島さん>
 
 
具体的な大会内容とは?

前島さん:「今回は、日本初の試みということでたくさんのご意見を頂いた上で、実現に向かっています。参加選手は高校生から社会人までと幅広く、多くの選手が参加可能な形にしています。イベントは公式試合ではないので“気軽にSNSで体操の動画を投稿し、オンライン上のプラットフォームで評価される”ことになります。動画投稿期間は8月17日~8月23日で、その後SNS上で動画公開されます。そしてこのイベントですが、開催資金をクラウドファンディングで支援募集しています。」
 

<イベント内容の詳細は、体操YouTuberの『シダックス』のチャンネルからも確認できる>
 
 
その資金支援のクラウドファンドについて教えて頂けますか?

前島さん:「支援募集は8月30日(日)午後11:00までとなっています。今回の“シダックスチャレンジ”は『Virtual Gymnastics League』の第一回目のイベントとなっていますが、将来的には『Virtual Gymnastics League』の枠組みの中でオンライン体操競技イベントを随時開催できたらと思っています。是非、ご支援に賛同して頂ける方にはこちらのホームページ(https://readyfor.jp/projects/idemic)からアクセスしてください。イベント主旨や今後の展望、またファンド支援方法の詳細も紹介されています。是非、ご支援のほど宜しくお願い致します。」
 

<“まだ間に合う!”支援募集締め切り迫る!READYFORの「チャレンジの場がない全国の体操選手のためにバーチャルイベントを」のトップページ>
 
 
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前島 一貴(Kazutaka Maejima)

前島 一貴(Kazutaka Maejima)

1986年東京都出身。9歳の時に体操競技と出会い、25歳で第一線を退くまで体操一筋。中学生の時には体操種目の床で日本一に。名門日本体育大学の体操部ではキャプテンを務めた。2015年5月の西豪州体操チャンピオンシップで見事優勝。パースエクスプレスとは月刊誌「The Perth Express」の2015年6月号特集企画を監修したことをきっかけに、その後50回以上のロングラン連載を記録した「前島イズム 継続の“エクササイズ”」の寄稿者としても活躍。新型コロナウイルスの影響で8年半滞在したパースを2020年3月に後にして、現在日本にて「Jymnection(ジムネクション)」を立ち上げ、体操選手の海外活動をサポートする事業を展開する。

「Jymnection(ジムネクション)」:https://jymnection.wixsite.com/mysite







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