ここでは、パースエクスプレス・マガジンで連載している『日本とオーストラリアのメディカルチェック』の2017年8月号の内容をお届けします。
慣れない環境だからこそ体調管理は大切になります。その際のメディカルチェック(医療検査)も臆さず受けたいところ。しかし、どんなチェックをされるのか…。日本との違いを参考に、オーストラリアのメディカルチェックを専門家が紹介します。初回は「インフルエンザ」のメディカルチェックについてです。
インフルエンザのメディカルチェックについて
◆インフルエンザとは
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって起こる感染症で、一般の風邪とは違い、高熱、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などのひどい症状が特徴です。また喉の痛み、鼻水や咳などの風邪と同じような症状も現れます。子どもや高齢者、何らかの疾患を抱える人では合併症を併発し、重篤に陥り、死に至ることもあるため十分な注意が必要です。
◆メディカルチェック(医療検査)
<日本の場合>
日本では、病院で受診すればその場で喉や鼻からの綿棒採取によって、30分以内にインフルエンザかどうか診断できる「迅速インフルエンザ抗原検出キット」を使って検査されることが一般的です。
しかし、この検査はウイルスの数によって反応が出るため、感染初期(発症後12~18時間以内)ではウイルスの数が少なく、感染していても陽性反応が出ないことがあります。
<オーストラリアの場合>
オーストラリアでは、基本的にインフルエンザかそうでないかの検査はあまり行われません。ドクターが全身症状を診察の上で判断されることがほとんどです。オーストラリアで行われるインフルエンザの検査法には、血液検査や喉や鼻の粘液綿棒採取による「ウイルス培養検査」となります。
しかし、「迅速インフルエンザ抗原検出キット」での診断も感染初期では反応が出ないことがありますし、血液検査や喉や鼻の粘液綿棒採取によるウイルス培養検査をしても結果を待つ1~2日の間、どちらにしても結果を待たずに治療(抗ウイルス薬の服用など)を始めるので検査は行われないことが多いです。抗ウイルス薬の投与は、発症後早ければ早いほど効果があります。ただし、妊婦や何らかの疾患により免疫が弱っている人、あるいはインフルエンザという確実な診断が治療方法の選択に必要な場合などは検査が必要となります。
ちなみに、オーストラリアでは、毎年4月から冬に向けてのインフルエンザ予防接種が積極的に薦められています。
ご案内人 日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん
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