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Check 07 血液検査(血糖値)について


 


ここでは、パースエクスプレス・マガジンで連載している『日本とオーストラリアのメディカルチェック』の2018年2月号の内容をお届けします。


 

慣れない環境だからこそ体調管理は大切になります。その際のメディカルチェック(医療検査)も臆さず受けたいところ。しかし、どんなチェックをされるのか…。日本との違いを参考に、オーストラリアのメディカルチェックを専門家が紹介します。第7回目は「血液検査(血糖値)」のメディカルチェックについてです。
 

血液検査(血糖値)について

 今回は、健康診断ではまず、必ず検査される血糖値についてお話しします。血糖値と聞けばまず“糖尿病”という言葉が出てくるのではないでしょうか?その通り、血糖値は糖尿病の診断に欠かせない検査ですが、これにはいくつかの検査方法があります。

 検査方法は以下でご紹介しますが、まず血糖値についてご説明します。
 口から摂取した糖質はブドウ糖に分解されて腸から吸収され、肝臓を経て血液中に入ります。この血液中のブドウ糖を血糖(グルコース)と言います。ブドウ糖は生命活動を維持するエネルギー源として利用されているため、血液中のブドウ糖(血糖)は一定の濃度に保たれおり、それを越えると膵臓からインスリンというホルモンが出て、血糖を下げるように働きます。

 インスリンが不足すると高血糖になり、過剰になると低血糖になります。一般の健康診断で行われる血糖検査は、高血糖の代表的疾患である糖尿病の有無を調べるのが目的ですが、糖尿病以外の先天性疾患や肝臓や膵臓疾患、腫瘍など他にも様々な病気で血糖値の異常がみられます。

 

<血糖値を使って糖尿病を検査する方法>

●空腹時血糖(BS: Blood Sugar)
まず約10時間の絶食で空腹時の血糖値が測定されます。ただし、これが高いからといって、即“糖尿病” というわけではありません。

●ブドウ糖負荷試験(GTT: Glucose Tolerance Test)
空腹時血糖が高い場合に行われる糖尿病確定診断のための検査です。まず、早朝空腹時の採血、次に75gのブドウ糖を含む糖水を経口摂取し、1時間後、2時間後に採血をしてそれぞれの血糖値を測定します。

●ヘモグロビンA1c(HbA1c)
血糖値が高くなると血液中のブドウ糖は赤血球の中にあって体内に酸素を運ぶヘモグロビンと結合してグリコヘモグロビン(HbA1c)に変わります。血糖値が高い状態が続くとHbA1cの値も上昇します。HbA1cは過去1~2ヶ月間の血糖の平均的な状態を知ることができるため、糖尿病の人の血糖コントロールの有効な指標とされます。また、食事や精神状態などの影響を受けて大きく変動することがないので、最近では空腹時血糖と同様、健康診断で糖尿病発見のための初期検査とされていることが多いです。

 


糖尿病は、一度発症すると完治することはない慢性の疾患です。しかし“食事療法”、“運動療法”、
“薬物療法”によって根気よく血糖コントロールを続け、合併症を予防できれば普通の生活ができるものです。


 







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