ここでは、パースエクスプレス・マガジンで連載している『日本とオーストラリアのメディカルチェック』の2018年4月号の内容をお届けします。
慣れない環境だからこそ体調管理は大切になります。その際のメディカルチェック(医療検査)も臆さず受けたいところ。しかし、どんなチェックをされるのか…。日本との違いを参考に、オーストラリアのメディカルチェックを専門家が紹介します。第9回目は「尿検査」のメディカルチェックについてです。
尿検査について
今回は、健康診断だけではなく、病院ではよく行われる尿検査についてお話しします。
腎臓は血液によって全身の組織から運ばれてきた身体の中の不用物を余分な水分とともに尿として体外に排泄します。腎臓でつくられた尿は尿管を通って膀胱に入り、ある程度の量が溜まると尿道を経て体外に排泄されるのです。ところが、腎臓をはじめ身体のどこかに異常があると、不用物が排泄されなかったり、排泄されてはならないものが尿に混じってきたりします。
このような身体の異常を探るために尿の中の成分や性質、量などを調べるのが尿検査です。尿の採取は基本的に尿道周囲の雑菌などが入らないように出始めでなく、排尿途中のものを採ります。これを中間尿(Mid Stream Urine)といいます。
尿検査で調べられる項目と疑われる病気
尿検査で調べられる主な項目とそれが異常であった場合に疑われる病気は以下のようなものです。
Protein(蛋白)
腎炎、ネフローゼ症候群や尿路感染症、尿路系の異常など
Glucose(糖)
糖尿病や腎性糖尿など
Ketones(ケトン体)
糖尿病、種々の内分泌疾患、外傷、栄養失調、極度のストレス状態など
Blood(血液)、Bilirubin(ビリルビン)
腎臓や尿路系の炎症や腫瘍、外傷など
Urobillinogen(ウロビリノーゲン)
急性肝炎、肝硬変、肝臓や胆道の病気、黄疸など
Specific Gravity(尿比重)、Leucocytes(白血球)、Erythrocytes(赤血球)
脱水症や心不全、糖尿病など
Epithelials(上皮細胞)、Casts(円柱細胞)
尿路結石、腫瘍、自然、尿路感染症、黄疸や痛風など
Culture (培養)
尿路感染症(膀胱炎)などの原因となる細菌が培養される
ご案内人 日本語医療センター マネージャー 千綿 真美さん
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