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【パースエクスプレス・マガジン】今月のなやみちゃん「風邪」


 
オーストラリアで生活することで日本では予期しなかったケガをしたり、病気になったりすることもありますよね。もちろん、そんな時は病院に駆け込むこともあるかと思いますが、英語の診察やカウンセリングで言葉の壁を感じたことのある方も少なくないはずです。このコーナーでは、パース在住の「なやみちゃん」の病気やけがを医師の診察の前に専門家が日本語でアドバイスを行います。

  私が日本語でご案内致します。
日本語医療センター/マネージャー 千綿 真美さん
〈日本語医療センター〉日本人通訳が常勤し、医師の診察を受けられる。また、海外旅行傷害保険でキャッシュレス・サービスも提供している。

 

 

ケース01 : 今月のなやみちゃん「風邪」

 

  なやみちゃん、今月は“どうなさいましたか?”具合が悪そうですが、お医者さんの診察の前にお話を聞きしましょう。

 

  パースで迎える初めての冬で、体調を崩しました。風邪の症状だと思いますが、日本では医者からすぐに抗生物質をもらっていたので、オーストラリアでももらえたらと思って…。

 

  実は、オーストラリアでは風邪の初期から抗生物質が投与されることは、あまりありません。あくまでも免疫による自然治癒を推奨しています。ただ、細菌の2次感染の兆候が見られたら、抗生物質が処方されます。

 

  そうですか、自然治癒ですね。ちなみに、細菌の2次感染とは何ですか?

 

  風邪はウィルス感染によるもので、そのウイルスに侵された咽頭や気管支などの粘膜の防御力が弱まって炎症を起こします。そして、更に炎症の箇所へ細菌によって感染が引き起こされることを2次感染と言います。中耳炎や扁桃炎、気管支炎や肺炎、副鼻腔炎などがいわゆる風邪から起こる2次感染です。抗生物質はその2次感染に対して有効となります。

 

  では、ウィルスにも抗生物質は有効となるんでしょうか?

 

  感染症を引き起こす病原体は、主に『ウイルス』や『細菌』、『真菌』に分類されます。これらに対する薬は『抗ウイルス薬』や『抗生物質』、『抗真菌薬』があり、『抗生物質』は『細菌』に対して効くもので、『ウイルス』や『真菌』に対して効果はありません。日本では2次感染を起こさないよう、あらかじめ風邪の初期から予防的に抗生物質が投与されることがほとんどです。

 

  抗生物質で風邪が治っているわけではない時もあるんですね?

 

  はい。多くの方が「抗生物質で風邪が治る」と信じているようですが、実は身体の免疫機能によって風邪のウイルスが除去され、自然治癒で治していることがほとんどです。

 

  日本では「抗生物質」、オーストラリアでは「自然治癒」といったように、風邪に対しても考え方が違うんですね。

 

  抗生物質を不必要に繰り返して使うことは、耐性菌の出現や菌交代現象を引き起こすため、気をつけて処方されなければなりませんので、自分でもそのことは知っておいたほうが良いでしょう。

 
 

  では、なやみちゃん、通訳を致しますのでお医者さんに診てもらうため、一緒に診察室へ行きましょう。

 

【情報提供】
日本語医療センター
予約から診察、そして診察後のサポートも全て日本人スタッフが対応。医師の診察には日本人通訳が付き添い、日本語で安心して受診できる。海外旅行傷害保険加入者は医療費、通訳、薬や検査などの費用を全てキャッシュレスで受けられる(但し保険適応外ケースもあり)。

パース 日本語フリーダイヤル(予約):1800-777-313 
電話:08 9486 4733 
一般診察予約受付時間:月~金曜日8am~17pm 土曜日9am~12pm
住所:Level 1, 713 Hay St. Perth WA 6000 (Perth Medical Centre内) 
ウェブサイト:www.nihongoiryocentre.com.au







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