オーストラリアで生活することで日本では予期しなかったケガをしたり、病気になったりすることもありますよね。もちろん、そんな時は病院に駆け込むこともあるかと思いますが、英語の診察やカウンセリングで言葉の壁を感じたことのある方も少なくないはずです。このコーナーでは、パース在住の「なやみちゃん」の病気やけがを医師の診察の前に専門家が日本語でアドバイスを行います。

私が日本語でご案内致します。 日本語医療センター/マネージャー 千綿 真美さん 〈日本語医療センター〉日本人通訳が常勤し、医師の診察を受けられる。また、海外旅行傷害保険でキャッシュレス・サービスも提供している。

なやみちゃん、今月は“どうなさいましたか？”具合が悪そうですが、お医者さんの診察の前にお話を聞きしましょう。

かるいめまいと頭痛がして、涼しいところで横になっていました。症状はだいぶ良くなってきましたが、心配なので診察をしてもらおうと…。

そうですか。あまり通気の良くない暑い部屋の中で、パーティをされていたとおっしゃっていましたね。それは、おそらく熱中症の症状かもしれませんね。水分は、十分に摂取してましたか？

人も多くて、暑さも忘れて、水分を取らずに人と話すのに夢中になってしまっていました。

それは、良くなかったですね。熱中症 （Heat Stress または Heat Disorder）とは、発汗だけで身体が体温を下げることができず、体温が上昇し続けてしまう状態になると起こるものです。また気温だけでなく、湿度の高い状態でも汗が蒸発しにくく、熱が放散されないため、体温が上昇して熱中症を引き起こすことがあります。

パースは日本に比べて乾燥しているので、汗も直ぐに蒸発してしまって、体が水分を欲しているのに気付かなかったんだと思います。

おそらく、そうだったんでしょうね。熱中症は重症度合で3つに分けられます。意識は正常だけれど、筋肉のけいれんや痛みがある1）熱けいれん（Heat Cramps)、意識はあるけどめまいやふらつき、頭痛、大量の発汗、皮膚が蒼白、脈が速くなっている2）熱疲労（Heat Exhaustion）。そして、意識がなく、幻覚や意味不明な言動が見られ、発汗がなく、皮膚が乾いて赤くなっている3）熱射病（Heat Stroke）があります。なやみちゃんのケースは2）に近かったんでしょうね。

気を付けなければなりませんが、もしなってしまった場合、それぞれの対処法を教えて頂けますか？

1）熱けいれんは、日陰で横になり、衣服を緩め、十分な水分補給を行ってください。水分は、ナトリウム（Sodium)を含むスポーツ飲料が良いでしょう。2）熱疲労は、1）熱けいれんの対処法に加え、水をかけたり濡れタオルをあてるなどして、身体を冷やしてください。症状が軽快しなければ病院に行きましょう。そして、3）熱射病は、多臓器不全を引き起こし命に関わるため、直ちに救急車を呼んでください。救急車を待つ間は、1）熱けいれんや2）熱疲労と同じ対処法を施しますが、意識がない状態では水分を飲ませてはなりません。

参考になりました。特にこの季節、特に注意しなければなりませんね。

暑い日に心がけることは、まず水分補給を十分に行なうことです。喉が渇いたと思わなくてもこまめに水を飲みましょう。ただ、水分でも糖分の多いジュースやアルコール、カフェインを含む飲み物は薦められません。そして、直射日光を避ける帽子の着用、涼しい服装、扇風機やエアコンの使用で涼しい環境を作る、子どもやペットを車の中に残さない、暑い中での運動や仕事は避けるなど、心がけて下さい。では、お医者さんの診断を受け、更にアドバイスをもらいましょう。

では、なやみちゃん、通訳を致しますのでお医者さんに診てもらうため、一緒に診察室へ行きましょう。