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在パース日本国総領事 鈴木徹氏の離任式と特別インタビュー



 
在パース日本国総領事館第25代目総領事、鈴木徹氏が離任した。3年8か月の在任期間中、パンデミックといった未曾有の事態の中、日本と西豪州の関係維持、更なる発展に尽力された。ここでは同氏の離任式の模様と、特別インタビューをお届けする。
 


9月7日、在パース日本国総領事公邸で鈴木総領事の離任式が行なわれた。ここ数年、コロナ禍で多くのイベントが自粛され、規模も縮小されている中、同離任式には日豪両国の要人や、在任中の鈴木総領事と公私共々親交を深めた関係者が多く参列した。

離任式:9月7日 取材協力:在パース日本国総領事館



「Today, I am not happy at all. I wanted to cancel this reception but it’s time to say good-bye to everyone」と冒頭でスピーチした鈴木総領事。同氏の人柄がうかがえるスピーチに、参列者からの穏やかな笑いが会場を包んだ。

 

1993年から2001年まで西豪州首相を務め、2017年から2020年まで日本で駐日オーストラリア大使として日豪関係の更なる発展に力を尽くしたリチャード・コート(Richard Court)氏。鈴木総領事が着任する直前に日本の大使館で両氏は挨拶を交わしていた。

 

西豪州首相のマーク・マガウワン(Mark McGowan)氏の代理として、鉱山・石油、エネルギー省などを兼務するビル・ジョンストン(Bill Johnston)大臣も参列し、お別れの言葉を贈った。

 


スピーチでは鈴木総領事夫人についても触れ、地域社会に受け入れられたお二人との別れを惜しんだ。

 

写真左からビル・ジョンストン氏、鈴木総領事、鈴木総領事夫人、リチャード・コート氏。

 


続いて、パースエクスプレスでは2019年1月に着任のインタビュー(着任インタビュー)を行っているが、今回の離任に際し鈴木総領事へ公私にわたっての3年8か月を振り返って頂き、お話を伺った。

インタビュー日:9月9日 取材協力:在パース日本国総領事館


-先日9月7日の離任式でのスピーチの第一声が「この地を離れるのは悲しいです」でしたね。
 「はい、悲しいですね。3年8か月と在任期間が長かったですし、良い思い出ばかりで後ろ髪を引かれる思いです」

-2019年1月19日に着任され一週間後のインタビューでしたが、「世界で一番美しい街と聞いてきたけどその通りでした」とおっしゃっていました。この3年8か月でパースへの印象は変わりましたか?
 「自然と街の調和という意味で世界一だと思いました。美しいという思いも更に深く致しました。そして、とにかくここにいらっしゃる“人”、日本人コミュニティの方たちも含めて、皆さんが素晴らしいと強く感じました。個人的にも本当に良くして頂き、たくさんのお友達もできました。感謝しています」

-そのようなパースにおける公務の中で、心に残っていることは何ですか?
 「やはり、在任中にパンデミックになってしまったことですね。当初は、思うように行動できず、行きたいところにも行けず、イベントを開こうとしても開けなかったので、残念ではありました。しかし、西豪州はハードボーダーを敷いていたので、州外や国外との接触はできませんでしたが、州内ではお会いしたい人にお会いするなどはできました」

-コロナ禍という未曾有の事態の中、実際に総領事館のかじ取りはどのようにされたのですか?
 「最初、コロナというウイルスがどういうものなのか分かっていなかった時期は、本当に手探りでした。実は、邦人保護を掲げている総領事館はどのようなことがあっても閉館はできませんので、二交代制で開館していました。当時、西豪州政府が感染防止策のため在宅を推し進めていましたが、申し上げた通り、窓口も閉鎖することはできませんでしたので、仮に当館の中で感染者が出たとしても、その感染者がいた班とは別の班が出勤できるようなかたちの二交代制で開館し続けました」

-在任期間を経て、実際に豪州、そして西豪州と日本との関係はどう感じられましたか?
 「まず国家間において、従来は貿易による経済や文化交流が主流でしたが、今では安全保障政策について首脳レベルで会談や協定が実現しているので、パンデミックにおいても更に深い関係になっていると思います。そして、西豪州と日本の関係ですが、私が在任中に栃木県の真岡市と西豪州のハーヴィー市が友好都市を締結しました。今の時代、オンラインでやり取りができることを活かし、調印式もオンラインで行いました。引き続き、西豪州と日本との関係はもっと活発になることと思います」

-将来、西豪州と日本との関係で期待されることは何ですか?
 「ここでの人と人との関係は、相思相愛だと感じております。そういった意味では、文化や教育交流は今後も更に盛んに行われていくと思います。実は、日本とパースを繋ぐ直行便は私が着任した年に就航し始めました。しかし、パンデミックで運休となってしまい、就航時と運休時の総領事となってしまいました。直行便はここでのコミュニティにとってとても大切なことなので、復活して関係が更に深まることを期待したいです」

-最後、当地に住む邦人の皆さんへ一言、お願いします。
 「まずは3年8か月、大変お世話になりました。そして、在留邦人の方たちが8,000人もいる当地西豪州の総領事館としてパンデミックの時でも、平時通りの行政サービスを提供することができました。当館は、警察組織ではないので限りがございますが、邦人皆さんの生活を安全に守ることが最も重要であり、引き続き当館のスタッフが変わらぬサービスをご提供し続けますので、何か困ったことがあれば是非、総領事館を頼りにして頂ければと思います」
 

鈴木 徹(すずき とおる)総領事 略歴

1981年 外務省入省
    在フィンランド日本大使館、在ノルウェー日本大使館勤務を経て
2015年 外務省儀典調整官(兼宮内庁式部官)
2016年 外務省人事課企画官
2018年から 在パース日本国総領事館 総領事(2022年離任)

 

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