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【パースエクスプレス・マガジン】第49回「オーストラリア代表と日本代表の新たなるサイクル」

本連載も気が付けば4周年を迎えることができました。ひとえに本誌読者やスタッフ皆様のお陰です。本当にありがとうございます。連載当初から駆け足“戯言”を述べてきましたが、あっという間でした。筆者も今タイトルのように新たなサイクルを迎えたつもりで、今後も頑張ります!
 
さて、サッカーのオーストラリアと日本代表における最大の目標であった2018年W杯が終わり、新たなサイクルとなるであろう4年間が既にスタートをしています。オーストラリア代表も日本代表も転換期を迎え、まずは2019年にUAEにて開催されるアジアカップを当面の目標と定めています。
 
そこで、今回のW杯の結果は対照的でしたが、両国の新たなサイクルを迎えるにあたり共通して問題となるのは次世代の選手発掘でしょう。まず、オーストラリア代表は“顔”とも言うべき選手の台頭が必要だと思います。これまでの“顔”とも言うべきティム・カーヒル(Tim Cahill)選手はとうとう代表引退を発表しましたので、カリスマ性を持った代表の中心選手の出現を期待したいですね。カーヒル選手は2006年からのサイクルで活躍をしてきた選手です。本当に凄い選手でした。次のオーストラリア代表の“顔”は、次回のW杯まで活躍が期待できるトム・ロギッチ選手(Tom Rogic<Celtic所属>)やマッシモ・ルオンゴ選手(Massimo Luongo<Queens Park Rangers所属>)、今回のW杯に19歳で出場したダニエル・アルザーニ選手(Daniel Arzani<Celtic所属>)にも奮起を期待しています。
 
一方、日本代表も“顔”とも言えた本田圭佑選手が代表からの引退を発表しました。こちらも後任が誰になるのかわからない状況です。しかし、日本代表の場合は中心選手だけではなく、全体的な世代交代の点から比較するとオーストラリア代表よりも遅れていると言えるでしょう。2018年のW杯では史上最高齢の平均年齢世代で臨み、結果的には良いイメージを残すことに成功しましたが、次世代の若手発掘の場にはなりませんでした。日本代表の中心選手の多くが2010年からのサイクルで活躍してきたベテラン選手達です。本田選手以外にも長谷部誠選手、長友佑都選手、岡崎慎司選手などは長い間代表の中心として活躍してきました。後続の若手の台頭を期待しなければなりません。
 
また、両代表とも新たなサイクルの象徴として監督も変わりました。ここで恒例の質問です。

 

Q  両国の新監督は、誰と誰でしょうか?

 

A  オーストラリア代表監督はグラハム・アーノルド(Graham Arnold)氏で、日本代表監督は森保一氏が就任しました。

 
まず、オーストラリア代表監督のグラハム・アーノルド(Graham Arnold)氏は、AリーグのシドニーFCを率い、直近ではレギュラー・シーズンで優勝を果たしました。近年で最も成果を出している自国人監督です。そして、日本代表の森保一氏もJリーグのサンフレッチェ広島を3度リーグチャンピオンに導き、現オリンピック日本代表監督でもあります。両国ともに自国にて結果を残した自国人監督を選択しました。特に日本代表は新たな時代を迎えたと切に感じています。そして、AリーグやJリーグで活躍をしている選手達の大胆な起用を期待しています。
 
W杯終了をきっかけに新たなサイクルを迎えた両代表は、2022年のW杯を目指して互いに切磋琢磨していくものと思いますが、両国代表はこの新たな4年間でどのような強化プランを取るか、そこが大切になるでしょう。当然、臨機応変な対応を取ることのできる、引き出しの多さを誇れるような強化プランが必要です。両国の今回のW杯で感じた限界がこれに集約されていると言えるでしょう。オーストラリア代表はあまりにも攻め手が少なすぎました。大会中、ある程度引いて守るしか勝機はありませんでしたが、それを差し引いても得点の匂いを感じることが少な過ぎました。また、W杯予選でも感じた長所を潰してくるような相手の“いなし”方が足りない、まさに多様性に欠けていました。
 
日本代表もW杯本大会にてベスト8の壁を感じました。試合途中でのギア・チェンジのタイミング、そしてその仕方に不具合があり、また選手選考の偏りが原因だったとも言えますが、引き出しの少なさが結果的に決勝トーナメント1回戦を突破できない原因につながったと思います。監督が“多様性”をもたらしてくれる選手をいかに選考できるかも必要でしょう。
 
さぁ、新たな船出を迎えた両国代表は、再び来年のアジアカップでしのぎを削ることになりますが、この短いスパンの中で筆者が“多様性”を感じることができるのでしょうか?期待したいところです。

 


【筆者:junchang】2010年よりサッカーについての独自の見解を自身のブログ「junchang & the MFF」に掲載。1日2万ページビューを記録することもあり、記事がlivedoor系サッカーサイト「SOCCER JOURNAL(サッカージャーナル ※現在閉鎖中)」に転載されたこともある。 ブログ:http://blog.livedoor.jp/junchang512/

 







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