「カレンの伝統文化を守るためには抵抗を続けなければならない。コートレイは解放されなければならないのだ」
「ビルマ人は全く信用ならない。これまでのカレン人に対する抑圧の歴史が証明しているじゃないか。抵抗しなければ、カレン人は絶滅させられてしまう」
キャンプ滞在中、涙を流さんばかりの剣幕で怒鳴りながら話す父親。毎晩のように交わした激しい言葉のやりとり。今も忘れることはできない。そのため私も真剣に答えの出せない反問を彼に突きつけていた。
「じゃあ、どうすればいいのだ。このままでいいのか。現状のままだと、毎日のようにカレン人の命も土地も失われれていくばかりだぞ」
タエポーは、戦争はイヤだという素直な気持ちを話してくれる。
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そうはいっても彼女自身、実体験としてビルマ軍の恐ろしさを味わっている。95年の春、このキャンプ自体がビルマ軍の襲撃に遭い、母親と弟の3人で命からがら山の中に逃げ込んだ経験もある。また、キャンプ内には戦闘で傷ついたり、ビルマ軍からひどい目にあった人が数え切れなくいる。しかし、それでもビルマに戻るという父親たちの先の見えない消耗戦に納得がいかない。
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