また、万が一のために、フィルムを余分に使い、さらに撮影を続ける。カメラを構えるたびに、カティボーさんは、大きな口を開けて、声を出さずに笑う。
  ファインダーを覗くと、小さな小さなレンズの向こう側にめいいっぱい広がる笑顔。思わず、私も吹き出してしまった。
  「何がそんなに嬉しいのか」と。 意味もなく笑ってしまう。最初は自分もニヤリと笑っていたのだが、そのうち、声を出して笑ってしまった。
  「ハハハハ〜。おばあさん、カティボーさん、マ・ラ・ミィ・サ・ラ・マッ(ありがとう)。」

 カメラを向けても嫌がる子どもはいなかった。

   子どもたちのほとんどは、私の存在を気にかけると言うより、ゴミ収集車から吐き出されるプラスチックの方に関心を寄せていた。
 腰を折り曲げ、懸命に地面に目をやる姿は、見ている方がつらい。額に汗して、一生懸命身体を、腕を動かしている。手には、ゴミを突き刺し、拾い上げるための「道具」を握っている。握り柄がついた約40cmほどの大型のアイスピックだ。その先は、ゴミを拾いやすいように、先端から10cmほどの所で直角に曲げられている。
 フィリピンのスカベンジャーは世界に知られている。彼ら/彼女らは、ここ通称スモーキンバレー(旧スモーキンマウンテン)と呼ばれる捨て場で生計を立てている。
   


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