「写真修行の日々」−最終回−

 内戦が続く東南アジア山中の最前線に9年間、ずっと通い続けている。タイ・ビルマ国境の難民キャンプでの生活も体験し続けている。また、中米のニカラグアやエルサルバドル、さらにカンボジアのゴミ捨て場にも足を踏み入れた。どこに行っても、目の前の現実の厳しさに、自分の存在の小ささを痛感させられてきた。
 私の関わる戦闘の最前線は、ジャングル山中のゲリラ戦のため、派手な戦闘戦のイメージを期待することはほとんどできない。夜の暗闇にまぎれて活動をするゲリラ兵士の写真を撮影することは、ほとんど不可能である。また、ジャングルで生活するゲリラたちは、農夫そのものという感じで、絵にならない場面ばかりだ。


 それでも、「そこにいるということが必要」だ。そう感じて現地に出かける。私は戦争という現象を撮るのではなく、そこに居る人を撮りたい。ゴミ捨て場の貧しさを捉えるのではなく、そこに生きる人の輝きを撮りたい。そういう思いからだ。
 


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