カレンの取材を始めて5年目の97年、カレン指導部内のいざこざにうんざりした私は、知り合いのフランス人の元義勇兵Jに愚痴った。
 「カレンの抵抗闘争には希望が感じられない。特に総司令部が陥落した95年以降の指導部の路線はもう八方ふさがりだ。もう取材を続けるのが嫌になった」。そのときJが言った。
 「結論はボ・ジョーに会ってから下すんだな。彼は唯一、実直なカレン指導者の一人だ。彼は他の老いた指導者と違ってまだ若い。可能性を持っている。確か、おまえと同じくらいの年齢だ。絶対に会ってみるべきだ。」

 その時から第5旅団の若き司令官・ボ・ジョーの名前が自然と耳に入ってくるようになった。他の6つの旅団の司令官が全員60歳を越す中で、彼はただ一人、30代後半の司令官だった。

   


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