[第4節] 初めの一歩
最初に断っておくが、本新連載ではパースにいる石田博行ではなく、サッカー選手の石田博行にスポットをあてる。
後半のロスタイムは2分と告げられた。主審が時計に目をやり、今や試合終了のホイッスルが吹かれようとしている。ゴールラインから約30mの自陣中央で得た、パース・グローリーのフリーキックで、この試合のゲームキャプテンを務めるミッドフィールダー、背番号4のSimon Colosimoがゴールキーパー、背番号1のJason Petkovicにボールを投げ渡した。ディフェンダーが難なく蹴れば済むリスタートのボールを、ディフェンダー全員にまで上がれと指示し、あえて最後尾のゴールキーパーにボールを蹴らせた。たとえ残り1分、1秒でも、最後まで攻め続けようとする勝利への強い意志の表れだった。そして、Jasonが蹴ったボールが空中から地面に舞い降りた時、試合終了のホイッスルが鳴らされた。パース・グローリー公式戦初勝利がもたらされた瞬間だった。 |
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