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[第4節] 初めの一歩

前半27分、右のハーフライン辺りにいたミッドフィールダーのSimonから前線に大きくフィードされたボールがセンターフォワードの位置にいた石田に渡った。石田は、瞬時の判断で胸ではなく肩でボールをトラップし、後方にフリーでいたストライカーのBobbyに絶妙のパスを送った。しかし、主審は石田のその肩のトラップにハンドの判定を下した。
当然、観客からはブーイングが起こり、石田も納得のいかない表情を浮かべる。もちろん、絶好の得点チャンスを反則の判定で阻止されたことへの反発もあったが、自分のプレーへのハンドの判定には怒りに似たものがあった。石田のプレースタイルは、テクニックで勝負するところが大いにある。
肩でトラップすることは、インサイドキックでボールを蹴ることと同じぐらい容易いことなのである。しかし、そのテクニックを目の肥えていない審判に簡単に反則扱いされるのは、石田にとってオーストラリアのサッカー、そしてこれから始まる新しいリーグへ失望とも言える印籠を渡されたことに匹敵した。もしヨーロッパのサッカーだったら、あのプレーは間違いなく続行されていただろう。