さて、最初に“今月のテーマ”は、と切り出そうとした時、「今のこのオフの時間が自分にとってとても大切な時間で、無駄にはできない。今の俺でJリーグにトライしてみたいと思っています。20歳の時のエスパルスにいた俺とは違う。自信があります」と言い放った。そして「今はとにかくリーグのやっているところに行って、プレーがしたい。試合に出たい。Jリーグに関わらず、どこでも。」
　 録音ボタンにスイッチを入れる前の話だった。言われた後、すぐに速記をしたので一語一句とまではいかないが、ほぼ正確な文言だと思う。それにしても、芯のある言葉だった。決して先を急いでいるようにも見えない。ただ、『今を大事にしたいんだ』という意思表明のようなものだった。

　ビルの影が短くなり、我々の座っているテーブルにも鋭角的に光が差し込む。オフシーズンに入って1ヶ月が経とうとしていた。
　オフシーズンといえども、練習やチームのプロモーションで選手達には実質、長期のオフはない。今回は、「オフシーズンの過ごし方や使い方」について伺ってみようという心算だった。しかし実際、質問が抽象的過ぎたのか、膨らむ話題では全くなかった。