MADISONはその日の午後、冷蔵庫の中を食べ物でいっぱいにしてから、「私の分も残しておいてね」と言い残して、帰って行きました。
彼女がいなくなってしまうと、張り詰めていた気持ちも急になえてしまって、もう何をする気も起きませんでした。昨日から今日にかけての出来事がまるで夢のように、静けさを取り戻した部屋の床には、窓の形を伸ばしたような日溜りができていました。僕はその日溜りの中にしゃがみこんだまま、つきあってもいいと言っていたMADISONの言葉を思い出していました。はっきり言って、僕は彼女のことを何も知らないのと一緒でした。
どんな風に暮らしているのか、たとえば、まだマッサージパーラーで
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働いているのだろうかとか、ドラッグよりも悪いことに手を染めているのじゃないだろうかとか、悪い方に考えだせば、もうきりがありませんでした。
それでも、心の奥底ではMADISONという人を信じ始めている自分がいるということも、分かっているつもりでした。それにしても、昨日のこの部屋での出来事は、出会いがしらに起きてしまったとしか言いようがありませんでした。
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