「うわあ、ひどいブスだったんだこの女って?」
 シャレのわかるMADISONは、きっとこんなジョークを返してくるに違いないのでした。
 かまわずMORIOは続けるでしょう。
 「君のペースを見ていて、このままじゃ僕たち幸せにはなれないんじゃないかって。それで、じゃあ僕に何が出来るのだろうって考えたとき、結局、何も出来ない気がして、どうしていいか分からなくなって君から逃げ出してしまったのだと思う。」
 「正直に言いなさいよ。偉そうなこと言っていた私が、ああいう車に乗っていたことが、ほんとうは許せなかったんでしょう?」
 「車はかっこいいと思ったよ。」
 「でも、あれすごく高い車だからお金

を無駄にしているのも確かだわ。もし、あんなもの買わなければあなたの言う、食べ物のない人達もたくさん救えたんでしょうにね。」
 「きみが稼いだ金をどう使おうと僕に文句を言う権利なんてある訳ないじゃないか。ただ、君が自分の命を削ってまでしてあんなものに乗る必要があるのかって思っただけだよ。」
 「人は生まれた瞬間から、死に向かって命を削りながら旅をして行く旅人に過ぎないわ。それなら、自分のしたいことをしたい時に手に入れていく生き方があったって、おかしくないんじゃない? それとも、サラリーマンみたいな仕事なら、どんなに嫌なことをしていても命を削るようなことは決してないっておっしゃるの?」

 


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