「MORIO、考え違いしないでね。別にあなたの女になるためにここに来たわけじゃないのよ。」
たぶんその時の僕はものすごく血走った目をして、彼女を見つめていたのだと思います。こういう時にこんな話はしたくないのですが、MADISONはそういう血走った男の扱いには、慣れていると思うんです。
MADISONは軽くいなすように僕をあつかいながら、桟橋の上にあぐらをかくようにして、腰を下ろしました。
「先週、あなたテレビに映っていたでしょう? 私、偶然見てしまったの。あなた、レポ−タ−の女の人の後ろで何か書いていたでしょう?
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私ね、はじめ何も感じないままただぼんやりとテレビを見ていたの。そしたら急に、あっ、この人知ってるって思い当たったの。」
MADISONは袖の伸びきったル−スなセ−タ−の中で腕組みをしながら続けました。
「そう、MORIOが何かやってるって。」
「僕の名前、覚えていてくれたんだね。」
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