ブルーネットの女性は、僕に背を向けたまま、散らかったままのベンチトップを無駄のない動きで素早く片付けると、マグカップの中のティーバッグをゆっくりと上下させながら続けました。
「30分 100ドル、45分 140ドル、1時間 180ドル、ゆっくりするのなら45分はほしいわ。」
僕は、急いで封筒の中を調べました。そして、そこに500ドルはいっているのを確かめてから「2時間45分ぶんは入っています」と答えました。
「あの、もしいやだったらいいんです。無理にいっしょにいてもらっても楽しくないでしょうし、それにここだけの話ですけれども、実は僕こういう所に来るの今晩が初めてなんです。だから、
|
|
ほんとはひざが震えるくらいびびっちゃってるんです。それに、まさかあなたみたいなきれいな人がこういう所にいるなんて夢にも思いませんでしたから…。」
僕は、彼女が僕の言葉を遮ってくれなかったら、きっとこんなうだうだした話を狭いキッチンの中で一晩中続けてしまったんじゃないかと思うくらい、すっかり自分を見失ってしまっていました。
|