第5話WOULD YOU LIKE TO GO TO SEX?」

 夕方、いつものようにキャシーズに行くと、オーナーがドロシーとむずかしい顔をして話し込んでいるところでした。ドロシーから「MORIO、オーナーからあなたにお話があるみたいよ」と言われたとき、イミグレーションから何か言われたに違いないと僕は息を飲んでしまいました。そして、どうしても今、日本に帰るのだけは困ると思いました。とにかく、まだ自分の中では何も見つけていないままでしたし、こんな状態でMAKIさんと再会したとしても、彼女に胸を張ってみせられるものなんて何もなかったからなのです。もちろん、ここにいればいつかはその何かをつかめるなんて保証はありませんでしたが。
  「Inspection? Investigation?」
 僕の不安をよそに、オーナーの口から難しい単語が続々と出てきましたが、

要するにチャイナタウンにできた新しいマッサ−ジのお店を偵察してきて欲しいということだったのです。しかし偵察することよりも何よりも、帰らなくて済んだことの喜びで僕は思わずオーナーの手を握り締めてしまいました。「MORIO、そういうことだから、お客さんのふりをして一体その店でどんなサービスをしているのか見てきておくれ。お金の心配はいらないから2時間でも3時間でも好きなだけ遊んできなさい。」


 


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