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Barefoot in the Creek

 

 季節が変わるときには、はっきりと変化が見られ、森の原始人のように心待ちにしていた。晩春や初夏になると、爬虫類が冬眠から目覚める。夏には暑さがいつまでも続き、空には雲ひとつない。湿気の多い3月が秋の訪れを知らせ、雷が鳴り響き、夜になると四方で絶え間なく続く雷光が枯れ木の間からちらりと見える。晩秋には、霜が厚く降りたクローバーの中から魔法のように野生キノコが顔を出す。冬は、嵐と強風を運んで来て、落木にいつも以上に気をつける必要があった。冬も終わり近くの9月の寒い夜には霜が降りて、牧草地を白くした。

   開拓地生活も終わる頃、イギリスから持ってきたウェリングトンの長靴が成長した子供の足には合わなくなり、残った靴は一足ずつになった。砂利道を歩くと靴が傷むため最後の一足はよそ行き用にして、当時の子供のごとく裸足で歩いた。すぐに足の裏が革のようになり、たいていは苦にならなかった。けれど春のまだ寒い朝、牛を集める時に凍ったクローバーの上を裸足で歩くのは辛く、暖かい太陽やそれほどは寒いと感じない雨を思い焦がれた。母は、私たちが裸足で写真に写ることをいつも嫌がったので、私や妹たちをいつも戸惑わせた。イギリスでは、裸足は極貧を象徴するもので、母はイギリスにいる親類たちにこの状況を知らせたくなかったのだと いうことが後でわかった。

つづく