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Barefoot in the Creek

 

第8章 自然 その2



 春は光り輝き、誰もが待ち焦がれる。ブッシュにはいつも何かしらの花が咲いていたが、春は植物の花々が命を吹き返す季節だ。植物学上の名前を知らなかったが、さまざまな種類の花についてよくわかっていた。ヴァルガ(ブラックボーイ)とグラスジンも見分けられた。どちらも成長するのが遅く、見かけが似ていて黒い幹と草の様な葉がてっぺんに生えている。ユーカリの新芽から草笛を作ったりもした。赤い葉の芽が成熟する頃、一番大きい葉を探しては誰が薄皮を破らず剥ぐことができるか競い合ったものだ。また、水辺はいつでも子供心を魅了する。敷地内を流れる小川や境界線の川もその例外ではなかった。小川にはロブスターの形をした、車エビぐらいの大きさで透明のジルギーが生息していた。食べられもしたが、都会っ子の小魚釣りのように、楽しみでジルギーを捕まえてはまた川に戻していた。

 
マーガレットリバーにはその身が大変美味と賞され、今日知られるようになったマロンという淡水ロブスターも生息していた。私の家族はこの美食を好まず、捕まえてもそのまま川に逃がすか、土手で放して本能に従って水辺へとゆっくり戻っていくのを眺めていた。マロンを料理しているところを見てゾッとして以来、私はマロンを好まなくなった。沸騰した湯に投げ込まれたマロンが鋭い悲鳴をあげていた。