夏になるとカヌー漕ぎや水泳のような楽しい川遊びもした。隣の子がカヌーを持っていた。使わない時は泳ぎ場から少し離れた藪にいつも隠しておいた。カヌーで遊ぶときは見張りを立て、大人が近くの牧草地を横切って近づいて来たら知らせることになっていた。秘密にしていたのはカヌー遊びが禁じられていたというわけではなくて、釘穴のない良質の鉄板を許可なく使っていたからだ。値打ちの高い資材をこっそり持ち出したら罰を受けるに違いない。しかし子供達は大抵、何も不思議に思わず罪の意識も感じずカヌー遊びに興じていた。小さい子供はいつも見張り番をして、密告しない代わりに時々カヌーに乗せてもらえた。私はカヌーに乗れることがゾクゾクするほど嬉しく、大きくなったら自分のカヌーを作ろうと心に決めていた。川ではよく泳ぎもした。夏になると川の水位が下がるので池のようになった冷たい淀みで泳ぎを習った。
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冬は水の流れが速く、危険なので泳がなかった。徐々に深くなっていく淀みで、ひとりで犬掻きの練習をした。自信がついてくると泳ぎの上手な子のクロールや抜き手、平泳ぎの真似をした。川遊びで困ったのはヒルがうようよしていることだった。この不快な生き物は体にくっ付いてくるので、ほとんどの大人たちは川に入ろうとしなかった。だが子供達はヒルをその日を楽しく過ごすための代償として嫌わなかった。ヒルから身を守るコツも覚え、自分の体や他の子の背中にヒルがついていないか絶えず注意した。ねばねばしたヒルが、体に引っ付いて血を吸い始める前に捕まえるのがコツだった。小さい子供も最初はヒルを怖がっていたが、年上の子供が平然と泳ぎに興じている様子を見てすぐに恐怖心を吹き飛ばしていた。
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