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Barefoot in the Creek

 

 もちろん、自然の威力はさらなる深刻な事態を引き起こした。ブッシュファイヤーは滅多に起こるものではなかったが、わずかでも経験したものには恐ろしい記憶だ。死者が出た火災が一度起こったことを記憶している。1931年にマーガレットリバー近郊で起こった火事で、ニルソンさんの二人の子供が勢いを増した炎に閉じ込められて、その命を落とした。地域全体がこの惨事に心を痛め、大々的な葬儀が執り行われ、制服を身にまとったボーイスカウトの団員たちが年若い仲間に別れを告げた。私たちの敷地でも1度だけ恐ろしい火事が起きた。夏の間、牛の餌となるよう集めて小屋に積み上げたばかりの干草が被害にあうところだった。出荷元は定かではないが、近所の人が駆けつけ危険を知らせてくれて、初めて火事だと気づいた。

空高く吹き上げる煙を見て近所の人は危険を悟ったのだった。だが、その時点ではすでに火の猛力は抑えられなくなっており、信じられないほどの速度で干草小屋の方に向かっていた。小屋は新しく切り開いた場所の端に建っており、ちょうど火の進路上だった。幸いにも家は道路を渡った向こう側で絶対とは言えないものの、まずは安全と思えた。空気が加熱され生じた凄まじい程の旋風と風向きの変化で、火がどちらに向かうのか予測がつかない。近くの牧草地に燃え広がるのを何とかくい止め、わずかに残っている草を守ることができた。火は獰猛さを増して、自らの熱気で旋風を巻き起こし、パチパチと大きな音を立てながらうねり声を上げていた。炎の進路を焼き払い、乾燥した下草と小屋を挟んでいる大地が切り払われたことで小屋の周りは安全になったが、近所の乾いた木によって火は3日3晩燃え盛った。