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【パースエクスプレス・マガジン】第175回 「『想い考えた事は現実化する』で豪州1号店をオープンさせた」 田中 實さんのある日

今月の人

田中 實 (たなか みのる)さん

 
2011年の東日本大震災で日本でのビジネス展開に限りを感じ、翌年の3月11日に海外第1号のハワイ店をオープンさせる。それまでは日本国内に45店舗の直営ラーメン店を経営していた田中さん。ハワイの後は、カンボジア、アメリカ、フランス、タイと海外店拡充を図り、祖父が満州で習得したぎょうざを受継ぎ、祖母と父、母が築き上げた本場とんこつラーメンを引っ提げ、この度10月31日に豪州第1号のパース店をオープンさせた。「うちの味は約70年の歴史があります。積み上げてきたものに勝るものはないと思っています。なので、ここではその味を提供するだけですが、受け入れられるかはこれからですね。うちの味は本場ですので」と話す田中さんの一日を紹介します。

 


9:00 am

 

豪州第1号のパース店グランドオープン初日、エプロンを巻く田中さん。日本からシェフを3名、そして自身で「本場のとんこつラーメンをパースの人たちに食べて頂きたい」と話す田中さん。
 


11:30 am

 

グランドオープン初日の開店。一気にオーダーが入る。3代に渡って受継がれた伝統と技、そして進化しながら生まれ、独自の“呼び戻し”法で作られたラーメン。

店頭の行列が一気に店内に流れ、満席となる。昭和28年、田中さんの祖父が福岡県の久留米にて、ぎょうざでスタートさせた屋台の『満洲屋』。そして、久留米発祥のとんこつラーメンを加えて店舗を構え、3代目の田中さんがその後、“日本一の店に”という想いを込め『満洲屋が一番』に改名。当店『満一』は、『満洲屋が一番』の海外ブランドとして展開されている。

オーストラリアでは1店舗目だが、海外では9店舗目になるパース店。「目の前のお客様のために一生懸命ラーメンを作ってきて、その積み重ねが『満一』の味です」と話す田中さん。
 


9:00 pm

 

開店初日の最後のお客さんたち。ラーメンへの感想を「ファンタスティック!」と言いながら、笑顔でお店を後にした。田中さんは「これからですね。今回も立ち上げるという感覚はなく、気負いはないです。正直、場所がどこであろうとも、お客様に自分たちの味を提供するだけです」と話す田中さんの一日でした。
 
 

<開店初日の翌日>


11:00 am

 

変わらない味を提供するため品質管理は徹底して行う。「お客さんとは、想いの掛け合いだと思っています。ラーメンを出す側と受ける側ではなく、お互いに“Give and Give”の関係。私たちは“美味しいもの”を提供し、お客さんは“美味しい”を私たちに与えてくれているので」と話す田中さん。
 


11:15 am

 

開店前のスタッフミーティングで「お店の壁画にもなっている“博多祇園山笠”では神輿を担ぐ時、全員で担ぐ。全員の力が一つにならないと担げません。お店の営業もスタッフがチームとして一つにならなければならない」と従業員に話し、「お店のファンをまずは1人、作ってほしい。笑顔1つでもいいので、その笑顔でお客さんはまた来店してくれるはず。お店のファンを作って欲しい」と話した田中さん。
 


11:15 am

 

この日もお店の外は行列ができていた。パースでオープンするきっかけは、「人と人とのつながりだった」と田中さん。それまでは、ゴールドコースト、ブリスベン、シドニー、メルボルンへ何度も視察に行っていたそう。
 


11:25 am

 

開店直前、スタッフとこの日の営業について再確認する田中さん。『満一』はラーメンだけではなく、2004年のTV番組「火曜スペシャル 今夜決定!餃子日本一はここだ!」でぎょうざも日本一の称号を得ている。
 


11:35 am

 

たくさんのお客さんとの出会い、そこで芽生える感謝の気持ち。その気持ちが従業員のユニフォームに“感謝”という文字で印刷され、表現されている。
 


11:45 am

 

厨房にも立つ田中さん。「我々の伝統と魂を世界の人にも知って欲しい、そんな思いで海外にも出店し続けています。いつも“Never Never Never Give Up”を胸に。そして、今後はこのラーメンとぎょうざを通して“和僑”として世界で仕事がしたいと考えています」と語る田中さんでした。







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