【Photo: facebook of Basil Zempilas for Perth Lord Mayor(www.facebook.com/BasilForPerth)】
パース市長選挙が10月17日(土曜日)行われ、テレビやラジオのキャスターやスポーツコメンテーターとしても知られているバジル・ゼンピラス(Basil Zempilas)氏が、新しいパースの市長に選出された。
2017年5月、西オーストラリア州行政裁判所(State Administrative Tribunal)が、前パース市長のリサ・スカフィディ(Lisa Scaffidi)氏に数十万ドル相当の贈答品や招待旅行などについての会計申告漏れが地方自治法に違反すると言い渡した。実際、その判決が下される前に西オーストラリア州のマーク・マガウワン(Mark McGowan)首相から辞任要求を突きつけられていたが、スカフィディ氏はその要求に抵抗していた。
また、同氏はその判決を不服として控訴し、市政を引き続き司る姿勢を見せたが、年が明けた2018年3月に州政府が介入してパース市議会の機能を停止させ、事実上、州政府主導のパース市委員会が運営した。
当初は、州政府から派遣されたパース市委員会による市政は、3年任期の市長選挙が毎回行われる10月までの約6ヶ月間と見込まれていたが、スカフィディ氏の申告漏れに関する公的調査が継続的に行われ、スカフィディ氏の任期(2019年10月)を満了させ、翌年の2020年の10月に新パース市長の選挙を実行するといった州政府からのスケジュールで今回の選挙へといった運びとなった。
【Photo: facebook of Basil Zempilas for Perth Lord Mayor(www.facebook.com/BasilForPerth)】
<パース市役所を背景にバジル・ゼンピラス氏の選挙ポスター。ゼンピラス氏の今回の選挙活動スローガンは「Reboot Perth’s Heart」>
『2020年パース市長選挙』の候補者は、7人。中でも当初からメディアで多く露出し、タレント性の強かったゼンピラス氏と、元ジャーナリストでマーケティング会社を経営していたディ・ベイン(Di Bain)氏に注目が集まり、実際に2人の間では激しい選挙戦が繰り広げられたが、10月17日の開票の結果も僅か数百票の差にてゼンピラス氏が1,855票(29.44%)で当選となった。2位はベイン氏の1,571票(24.94%)。全投票数は6,300票で、投票率は2017年の37%から41%と上昇した(西オーストラリア州内の地方自治体で行われる選挙への投票は義務付けられていない)。
2年以上もパース市委員長が代役を務めていた市長の席は空席となっていたが、今回の選挙によってゼンピラス氏がその席に着くことになった。ただ、就任間もない新市長は既に多くの課題と直面することになる。現在、パース市内のオフィス空室率はオーストラリアの州都の中で最も高く、交通量も減少しており、今回の選挙の焦点としても取り上げられた市の活性化、そして増え続けるホームレスの問題も挙げられている。
【Photo: City of Perth Website(www.perth.wa.gov.au)】
<10月19日、バジル・ゼンピラス新パース市長と新パース市議会の宣誓式がパース市役所にてキム・ビーズリー(Kim Beazley)西オーストラリア州総督列席のもと行われた>
活性化に関しては、西オーストラリア州政府が大学のキャンパスをパース市内に建設し、またパースコンサートホールやパースカルチュアルセンター、アボリジニ文化センターの再開発といった「Perth City Deal」プロジェクトを連邦政府や大学、地元企業と共に実施することを発表しているが、新しい市長と市議会には市民からの信頼を取り戻し、より強いリーダーシップで市政を運営することが期待されることになる。
【Photo: City of Perth Website(www.perth.wa.gov.au)】
<パース市のビル群を背景にスワン川からのエリザベル湾を一望>
【バジル・ゼンピラス(Basil Zempilas)】
1971年7月30日生まれ。西オーストラリア州パース生まれ。Murdoch大学でメディアとマスコミュニケーションを専攻。長身を活かし、オーストラリアンフットボールのWest Australian Football Leagueでプレーした経験がある。その後、Seven Network(民間テレビネットワーク)でスポーツコメンテーターとして活躍。オリンピックや各種選手権などのイベントも数多く出演。また、キャスターとしてラジオのレギュラー番組をもっていた。