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資源エネルギーの主要地、西豪州のパースにて日豪首脳会談が行われる。



 
岸田文雄首相は、10月21日に日本を発ち、同日にオーストラリアの西オーストラリア州(西豪州)首都、パース入りした。今回の訪豪は、オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相(Anthony Albanese)との首脳会談を行うためだったが、会談は首都キャンベラやオーストラリア最大の都市シドニーではなく、西豪州のパースで開かれた。
 
オーストラリアのアルバニージー首相は、9月27日に故安倍晋三国葬儀のため訪日し、岸田首相と会談、その後10月に入り「岸田首相が10月下旬にオーストラリアを訪問する」と現地メディアを通して話をしていた。そして、10月19日に両国外務省より岸田首相の豪州訪問が正式に発表された。

日本の首相がオーストラリアを訪問したのは、2018年の故安倍元首相以来となるが、西豪州を訪れた日本の首相は同首相の2014年が最後となる。

今回の訪豪の目的について日本出発前の記者会見で岸田首相は、3点言及している。1点目は両国間の安保、防衛及び経済面での協力関係の更なる深化、そして2点目には「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携の一層の強化、3点目に天然ガスや石炭といった資源エネルギーの最大供給国の豪州と今後のエネルギー分野での協力を確認すること、と述べていた。

また、今回の会談場所となった西豪州のパースについてアルバニージー首相は、「気候変動危機への対処や、この地域における温室効果ガス排出実質ゼロへの移行を支援する方策についても話し合う。これには、クリーンエネルギー技術やサプライチェーンへの投資拡大に向けた機会の活用が含まれる。西オーストラリア州ほど、今回の訪問にふさわしい場所はない。同州は日本のエネルギー安全保障を支える上で、重要な役割を果たす一方、両国がクリーンエネルギーへの転換を計画する上で欠かせない存在になると思われる(在日オーストラリア大使館ウェブサイトより引用)」と会談前の声明で発表している。
 

<出発同日の10月21日の夜、パース国際空港に到着した岸田首相(Photos from ABC News)>
 
さて、10月21日にパースの地に降り立った岸田首相は、翌日の朝9時半過ぎにパース市街地に隣接するキングスパークにて歓迎式典に出席し、パースの街並みを背景に両首脳が展望台でコアラを抱き抱えながらの記念撮影が行われた。

その後、両首脳は会談を経て、近年、中国の海洋進出など国際情勢の変化に対応するため、2007年に署名した共同宣言を更新した新たな安全保障協力に関する『日豪共同宣言』等に署名。「拡大した安全保障パートナーシップの一環として日本の自衛隊が豪州北部で、豪州国防軍と一緒に訓練と演習を行う」といったこともアルバニージー首相は付け加えた。
 

<岸田首相歓迎式典がパース市街が一望できるキングスパークで開かれた(Photos from Mark McGowan Facebook)>
 

<歓迎式典後、キングスパークの展望台でコアラを抱いて記念撮影をした岸田首相とアルバニージー首相(Photos from Mark McGowan Facebook)>
 
調印後の共同会見では、アルバニージー首相は冒頭で「過去5か月間で、岸田首相とは今回が4回目の会談となる」と話し、両国の密接な関係を強調しつつ、岸田首相も「安倍元総理の国葬参列に、アルバニージー首相と3人の元首相が日本を訪問してくれたことは日本とオーストラリアの強い関係を象徴するものであった」と述べた。
 

<新たな安全保障協力に関する日豪共同宣言に署名する岸田首相とアルバニージー首相(Photos from 7 NEWS Australia)>

<両首脳の調印後、日本の経済産業省とオーストラリアの産業科学資源省、外務貿易省との間で鉱物に関するパートナーシップも書面で確認された。(Photos from 7 NEWS Australia)>
 
2022年の5月23日に豪州首相の座に就いたアルバニージー首相が翌日の24日に訪日、その後6月にも両氏は北大西洋条約機構のアジア太平洋パートナーとしてスペインで、9月には故安倍晋三国葬儀に参列するため訪日中に、過去5か月で計3回、そして今回で4回目となる会談の地となったパースについて「ここパースでは、資源・エネルギー分野における日豪パートナーシップの戦後の歴史を象徴している」と共同会見で述べた岸田首相は、今回の訪豪の3つ目のテーマである「資源エネルギー」の視察のため、午後はパース市街地から車で約45分の町、ロッキンハムへ移動した。
 
ロッキンハムは、午前中の歓迎式典にも参列した西豪州首相のマーク・マガウワン氏(Mark McGowan)のおひざ元であるが、岸田首相はそのロッキンハムのBHP社Kwinana Nickel Refinery(クウィナナ・ニッケル精錬所)を見学した。同精錬所は蓄電池材料に使われる硫酸ニッケルを豪州で初めて生産し、クリーンエネルギー分野における日豪連携を象徴する場所として、同社と覚書を提携している日系企業のプライム・プラネット・エナジー&ソリューションズ株式会社と豊田通商株式会社も視察に同行して見学を行った。岸田首相は「日豪のバッテリー・サプライチェーンがより強固になっていくことを期待し、脱炭素化の時代に沿った新たな協力関係を日豪で構築し、カーボンニュートラルに向けて連携していきたい(外務省ウェブサイトより引用)」と述べた。

10月21日に東京を出発して西豪州パースに着き、翌日の22日は歓迎式典や会談、視察などで終日時間に追われた岸田首相。そして、同日の夜には政府専用機で離陸予定だったが、機材トラブルが見つかり、パース国際空港の出発時刻が予定よりずれ込んだが、現地に待機していた予備機を使用して、無事帰路に着いた。
 

<アルバニージー首相と昼食会を共催したマーク・マガウワン西豪州首相と岸田首相。マーク・マガウワン西豪州首相は自身のFacebookで「来年は日本と西豪州の更なる強化のため日本に行く」と告げいてる。(Photos from Mark McGowan Facebook)>
 
 
写真:Mark McGowan Facebook
写真:ABC NEWS
写真:7 NEWS Australia
 
情報/参考:Prime Minister of Australia
情報/参考:Australian Embassy Tokyo/在日オーストラリア大使館
情報/参考:Ministry of Foreign Affairs of Japan
情報/参考:ABC NEWS
 
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